仕事をうまくこなす ”コツ” わかります。
サラリーマンなら知っておくべき
「〇〇の力」がわかる本です。
AMAZONレビューで賛否両論に割れている本だったので気になって購入。
「これからの世の中、特に情報が日々大量に流れまくるこれからの時代、
実力も大事だけど、
自分が頑張っていること、
成果を出していることを積極的にアピールしていったほうが良い、
成功するには ”実力” や ”運” も大事だけど、
”まわりの人々を錯覚させる力”
はあったほうが断然いい、
利用できるなら利用したほうがいい」
表紙に「え?まだ実力で勝負とか言ってるの?」という挑発的というか、
皮肉混じりの文言、そしてなんとなく憎めない感じのイラストに目が引かれた方も多いと思います。
この文言はちょっとやり過ぎかと思いますが、
本書に書かれている色々な実験データを読んでいと、
あながち ”やり過ぎでもないかも” と思わず引き込まれます!
この本は、
仕事で成果を出すために一生懸命 勉強したり、
出世するために努力したり、
毎日遅くまで残業したりしているのに、
なぜかチャンスが来ない人、
チャンスが来てもそれをうまく活かしてステップアップできない方
に役立つ内容かと思います!
決して”実力は不要”というような内容では無いのですが、
「勘違いさせる力」の説明がわかりやすく、
そして面白く書かれていて「確かに!」と思うところが随所にあり、
改めて「ハロー効果」の影響力を知ることができました。
逆に、それらを反面教師にして、自分は錯覚させられないように注意して生きていくということも学べる本です。詐欺師にだまされない為には、詐欺師の手口を知っておく、というのに近いです。
著者は、「ふろむだ」というペンネームを使っています。
理由は、「実名で本を執筆すると、どんなに正直に書いているつもりでも、
無意識のうちに体面や人間関係に配慮してしまってウソをついている自覚なしに、
文章の中にたくさんのウソが混じるから」と本文で語っています。
さらに「人間関係に縛られず、『本当のこと』を書きたかったから、立場上書けないことも、誠実に書きたかったから匿名で書いた」と説明しています。
少し怪しい感じがしますが、本の内容は心理学に基づいた根拠ある内容で、読みやすく、面白く、役立つ箇所がいくつもありました。
・ポイントとして
「錯覚資産」をうまく運用することで、成功確率が飛躍的に上がる。
その「錯覚資産」とは?
「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」
は、一種の資産として機能する。これを「錯覚資産」という。
例えば、ここに次の2人がいたとする。
・『実力タイプ』・・・本当に実力のある人。
・『錯覚力タイプ』・・・実力はないが、実力があるように見せかける能力のある人。
世の中や会社は、実力タイプよりも、
錯覚力タイプのほうが有能だと認識する。
だから錯覚力タイプは、実力タイプよりも、よりよいポジションや成長のチャンスを手に入れられる。錯覚力タイプは、エリートコースに乗り、いい先輩の指導を受け、重要な仕事任され、みんなに助けられ、実力アップの機会に恵まれる。
実力タイプは、まわりの人は有能だと認識していないので、大した期待もしない。だから古いシステムの保守や雑用ばかりさせられ、ろくな経験も積めず、実力が伸び悩む。
結果として数年後には、実力においても、錯覚力タイプが実力タイプを追い抜いている。そんなことがこの世の中では普通に起こっている( ゚Д゚)
つまり、本当は実力があるけど周りの人にそう思われていない人よりも、
周囲の人に「実力がある」と「錯覚」させた人の方が、成長する機会を多く得ることができ、結果的に周りの援助や指導も受けることが増え、チャンスをつかみやすくなる。
もう一度整理すると、
・錯覚資産とは、
「他人が自分に対して持つ、自分にとって都合のいい”思考の錯覚”」のこと。
・思考の錯覚は、”認知バイアス”によって引き起こされる。
・認知バイアスとは、
ゆがんだレンズのようなものであり、認知心理学の概念で、
「認知の偏り(かたより)」という意味。
・ハロー効果は、認知バイアスの一種。
で、ハロー効果とは、
ハロー効果の「ハロー」とは、あいさつではなく、後光(ごこう)のこと。
(神様や仏様の後ろにピカーッと光るあれです)
なにか1点優れていると、後光がさして、
なにもかもが優れて見えちゃうような錯覚のこと。
(例えば、ハーバード大学出身の方と、あまり聞いたことの無い大学出身の方が違う意見を言っていた場合、無意識に人はハーバード大学の学生の意見の方が正しいと錯覚してしまう・・・みたいな感じです)概念
・ハロー効果の位置づけは ↓こんな感じです↓(本文より引用)
・ハロー効果による錯覚は、権力者にとって、都合がいい
「地位が高い」とか「実績がある」と、
その人が「全体的に優れている」と、人々は認識してしまう。
それによって、その人の考え方や発言内容の「正しさ」まで底上げされ、実際よりも正しいように聞こえる。(恐るべし、ハロー効果)
・「失敗は成功の母」は嘘!?
よく耳にするのが「失敗は成功のもと」。
それと同じようによく聞くのが「失敗は成功の母」。
この「失敗は成功の母」などと言われるが、
実際には、成功の方が、
はるかに成功の母である。
なぜなら、人は(ユーザーも、投資家も、エンジニアも、メディアも)
「成功は、運ではなく、実力によるものだ」
と錯覚するから。
錯覚が、成功のスパイラルを作り出す。
偽物の薬を、患者に「よく効く薬でうよ」と名医が話して飲ませると、
実際に患者の病状がよくなるような「偽薬効果」のことを
「プラシーボ効果」と言いますが、
このプラシーボ効果が、単なる錯覚にもかかわらず、
現実に病気を治癒する効果があるのと同じように、
思考の錯覚は、単なる錯覚でしかないにも関わらず、
現実の成功確率を飛躍的に上げる。
・学生と社会人ではゲームのルールが根本的に違う
学生の受験勉強では、思考の錯覚の入り込む余地はない。
ハロー効果のおかげでテストの点数が上がったりしないから。
また、運に左右されることも少ない。数字で表すと、
運:実力=1:9 くらい。
しかし、ほとんどの社会人の場合、成功と失敗を決める要因は、
運:錯覚資産:実力=3:4:3 みたいになる!
社会人の多くは、受験勉強よりも、はるかに不可実性が大きく、
運に左右される変数が多く、
錯覚資産の多い少ないで、結果が大きく左右されるためである。
著者は、のべ数百万人に読まれたブログの著者。
多様な業務経験を活かして、主に仕事論などの記事で人気を博す。
現実では複数の企業を創業し、そのうち1社は上場を果たす。
ポストとしては平社員、上司、上司の上司、上司の上司の上司、取締役、副社長、社長を経験。
業務としては、プログラミング、設計、仕様定義、企画、マーケティング、採用、アートディレクションなどを経験。本書は初めての著書となる。
上の著者の経歴を読んでみなさんはどう思いましたか。
「おー、1社は上場までさせた起業家なんだ。
そんな人が書いたんなら、この本は信用できそう」
と思った方もおられると思います。
まさにそれも、著者の錯覚資産による錯覚かもしれません。
とにかく、この本ではハロー効果を中心に、
人々が陥りやすい錯覚や、
なぜ誤った判断を人はしてしまうのか、
なぜ誤った判断をしたことにも気づいていないのか?
などなど、知っておいて損は無い、といいますか、
サラリーマンとして会社で働いている方なら知っておいた方がいい内容が、
かなりありました。
つまみ食いでもかなり役に立つオモシロイ本です。おすすめです!
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人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている (ふろむだ)