「あの人は人の話をどうせちゃんと聞いてくれないから、相談するのを辞めておこう」
「あの人たちのグループに依頼すると、どうせ後で何かを無茶ぶりをしてくる。だから自分たちで無理してでも何とかしよう」
「これ系のプロジェクトは関わってもどうせ途中で頓挫するから、関わらないでおこう」
そんな人間関係の問題や職場の雰囲気・風土、”凝り固まってしまった個々の考え”、過去の経験から出来上がってしまった良くない 人と人との ”関係性” のせいで円滑なコミュニケーションがとりにくくなり、せっかくのチャンスを逃していませんか!?
そのままだと、新しい発想やアイデアも出ず、問題は問題のまま放置されてしまい、目標も達成できず、業績は悪化の一途をたどってしまわないでしょうか。
わたしが関わってきた会社は殆ど全てそのような「放っておくとマズイ状態」でした。
そんなときにカリスマ上司から教えていただいたこの本が非常に役に立ったのでご紹介します。
安斎 勇樹
株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO。
東京大学大学院情報学環特任助教授。
東京大学工学部卒業後、同大学院学際情報学府博士課程修了。
人と組織の創造性を引き出すファシリテーションとマネジメントの方法論について研究している。
塩瀬 隆之
京都大学総合博物館准教授。京都大学工学部卒業、同大学院工学研究科修了。博士(工学)。
2012年7月より経済産業省産業技術政策課にて技術戦略担当の課長補佐に従事。
2014年7月より復職。小中高校におけるキャリア教育、企業におけるイノベーター育成研修などワークショップ多数。
「問いのデザイン」とは何か?
「認識」と「関係性」の「固定化の病い」によって、何が本当の問題かがわからない、
問題の解決方法もわからない、やっても解決できない、だから答えもわからない。
そのような状況の中で「創造的な対話」によって新しい発想やゴールを探り当てる手段。
もう少し具体的に、
・問いのデザインとは (もう少し分解して)
①「問いのデザイン」とは、問題の本質を捉え、解くべき課題を定める「課題のデザイン」と、問いを投げかけて創造的な対話を促進する「プロセスのデザイン」から構成される。
② 「問い」は「対話」を生み、「思考と感情を刺激」して「認識と関係性の固定化の病い」を解決しうる
・では、なぜ「問い」は認識と関係性の固定化の病いを解決しうるのか?
①「問い」には日常によって凝り固まった認識を揺さぶり、ほぐし、建設的で創造的な対話を生み出し、出来上がってしまっている良くない関係性を再構築してくれるから。
②「問い」によって生まれた対話は、認識の共有化、個人の思考の見える化に働きかけ、相互理解のきっかけを作ってくれるから。
③「問い」によって生まれた対話は、互いの暗黙の前提、認識のズレを明らかにしてくれ、新しい関係性を編み直してくれるから。
・では、どうのようにこの「問いのデザイン」を活かしていけば良いのか?
①「課題のデザイン」を学び、実践する
②「プロセスのデザイン」を学び、実践する。
③組織内でワークショップや勉強会で実践していき、軌道修正しながらプロセス目標や成果目標、ビジョンへ近づいているか都度確認、見える化しながらゴールするという体験を得る。
非常に完結にまとめると上記のような内容です!
前回紹介させていただいた「U理論」でも、現代社会や私たちが生きているVUCA時代では、「ビジョン=目標」ではなく、「ビジョン=問い」であることをまさに学んだところでした。
高度成長期には有効であった「目標や手段を定めてから行う”山登り型”は もはや通用せず、「常に自身らに ”問い” を立てながら進める”波乗り型”の仕事の進め方でないと、うまく行くはずがない。
波のように、次にどんな波がくるか予想できない、その形も曖昧で、単純でない。一定でもない。そんなVUCA時代。
だからこそ読むべき本、役立った本としてご紹介させていただきました。
・では「課題のデザイン」とは何か?
「課題のデザイン」とは、
「問題を捉える思考法」や「課題を定義する手順」に沿って、
関係者が対峙すべき「解くべき課題」を定義して合意を形成すること。
その際、「課題設定の罠」にはまらないように注意を払うこと。
・「問題を捉える思考法」とは、
①素朴思考(好奇心や率直な問いで揺さぶり、ほぐし、引き出す)
②天邪鬼思考(敢えて逆の問いをして刺激する)
③道具思考(知識・学問・専門家・記号・視座などの概念的な道具)
④構造化志向(記号や図を使ってシステムを理解して思考する)
⑤哲学的思考(本質を得る「本質観取」を使って そもそも を問う)
以上の5つあります。
それぞれ詳しく本書で解説されています!
問題状況の前提となっている「目標」は、
人によって「認識」が違うため、問題の関係者にとって「本当に目指すべき目標」とイコールとは限らない。
(何かしら「目標」があるからこそ、現状とのギャップがあり、その間に問題がある)
だからこそ、「問題を捉える思考法」で、「問い」を投げかけ、問題状況への理解を深めることが大切。
・「課題を定義する手順」とは
①要件の確認
②目標の精緻化
③阻害要因の検討
④目標の再構築
⑤課題の定義
以上の5つです。
ここの①でいう「要件」とは、
依頼者の要望、理想的な目標状態、ありたい姿や状態、問題状況に対する制約、関係者の情報、使える資源、予算や機関などのこと。
「課題設定の罠」にはまって、目標の設定が曖昧のまま課題を設定しないため、目標を「精緻化」する必要がある。
・「精緻化」するためのポイントとして
①あまりにも長期的な目標な場合、中期、短期の目標へブレイクダウンする
②優先順位をつけて整理したり、分割する
③成果目標・プロセス目標・ビジョンの3種類に整理する
②の優先順位では、
・理想的な目標
・現実的な目標
・最低限の目標
と3段階に分けるのがおすすめ。
③のビジョンとは、
プロセス目標・成果目標を達成した先、どのような状態を目指すのか!?
を言葉にしたもの
「課題設定の罠」とは、
①自分本位(利益や売上を優先して、ユーザー目線などを忘れてしまうことなど)
②自己目的化(DXすること自体、Iot を導入すること自体などが目的になってしまっていることなど。恐らく”あるある”だと思います)
③ネガティブ・他責(他人原因論での目標や、前向きでない目標を設定してしまうこと)
④優等生(「持続可能な社会をつくるにはどうすればいいか?」みたく、社会通念的に「良し」とされていることが前提になっていて、そうでない側面の検討が欠けてしまい、創造的な対話が深まりにくい。対話の難易度が上がってしまう可能性が高い)
⑤壮大(問いが大きすぎて、”自分ごと” になりにくい)
「課題を定義する手順」の3つ目にある
「阻害要因」とは
①そもそも対話の機会がない
②当事者の固定観念が強固
③意見が分かれ、合意が形成されない
④目標を自分ごとになっていない
⑤知識や創造性が不足している
上記の5つです。
これも本書で詳し~くわかりやすく説明されています!
何かチームやグループで「目標」を決めるとき、絶対どれか1つ以上はありますよね・・・( ;∀;)
このあと、本書では、「プロセスのデザイン」についてわかりやすくその手順や役割を解説され、「ワークショップのデザイン」の仕方や技法が書かれています。
また著者らが実際に行ったワークショップの超具体的な事例が6ケースも収録されています。
まずはこの事例(6つのケース)を読んで、「問いのデザイン」とはどういうことで、どのように実践していくのか!?を俯瞰して理解・学ぶのも有りです!
これからの社会、人と人とのつながりがリモートなどで希薄になってきた現代、この本は救いの手をくれます!おススメです!!
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関連書籍として、こちらもおススメです(^^♪
↑こちらは、具体的にどのような「問い」が効果的か?について深く解説された本です。「問い」の種類やその「具体的な例文」とその「狙い」についてわかりやすく書かれています。
↓こちらも「問い」について深堀りして学ぶにはうってつけです(*^-^*)
同じ著者である安斎 勇樹氏が小田 祐和氏と上梓されている本です!
これも「問い」についてディープシンキングするには非常に学びになる本です。
そしてディープシンキング(DEEP THINKING)といえば、こちらも参考にどうぞ!