2020年から2021年にかけて、とっても興味深く読んだ本。
それは「U理論」関係の本です(≧◇≦)
なかなか好き嫌いがわかれる本だと思いますが、
恐らく嫌いな人は、「プレゼンシング」というステップが
どうもスピリチュアルで現実的な話に聞こえないからかなと
個人的には思いました( ゚Д゚)
でもこの「プレゼンシング」を
・新しい発想が思いつく状態
・良いインスピレーションがくる状態
・今まで思いもしなかったヒラメキが出でくる状態
・思いがけない発想がわいてくる状態
とシンプル解釈すると非常にわかりやすい理論でした。
恐らくですが、アーティストやクリエイターの方、経営者やイノベーション請負人みたいな方は、自然とこのプレゼンシングの状態に入る術を身に着けているんだろうな♪
なんて、想像します。
U理論[第二版]――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
U理論[エッセンシャル版]― 人と組織のあり方を根本から問い直し、新たな未来を創造する
【この順番で読むのが一番読みやすく、理解が深まると思います】
①漫画版 → ②図解入門 U理論の基本と実践 → ③U理論入門
→ ④U理論[第二版] → ⑤U理論[エッセンシャル版]
とりあえず1冊!!という方には
断然青い表紙の「U理論入門」です!!
分かりやすい具体例が多く、且つU理論の全体を含めているから(≧◇≦)
原書の翻訳者でもある #中土井 僚 さんの著書です。
「漫画版」は、U理論の半分ほど
(プレゼンシングまでのセンシングの部分、つまり意識変容部分)しか書かれていません。なにそれ!?と今は思うかもしれませんが、大丈夫です♪
で、私なりに解釈しますと
「U理論」とは
「過去の延長線や過去からの学習では得ることのできない
直感やアイデア、インスピレーションを出現させる方法論」
もっと簡単に言うと
「過去の延長線上に無い新しい何かを得る方法」
とか
「今までに無いイノベーションや解決策を得る方法」
と考えると、とても興味深く読むことができて
私は「はまりました」(#^.^#)
VUCAの時代と言われる昨今、今後このU理論を取り入れる企業や組織は増え続けると思います。理論なので実践的な本とは違いますが、実践方法もそれぞれの書籍には書かれていますし、海外のYouTube(字幕付き)でもU理論の実践風景を視聴することができます!
U理論は
「不確実性が高く、先の見通しがつかない現代に、新しい可能性の道を照らし、
変革を実現する道しるべ」
となってくれると思います!
U理論[第二版]――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
この本は最後の方で読んだ方が良いです。いきなりこの大元の書籍に手を出すと、よほどの関心が無い限り、途中で読むのをやめちゃう可能性が高いと思います。
著者はマサチューセッツ工科大学(MIT)上級講師、精華大学客員教授、U.Lab共同創設者。
ベストセラーとなった「U理論」と「出現する未来」(ピーター・センゲ、ジョセフ・ジャウォースキー、ペティー・スー・フラワーズとの共著)で、出現する未来から学ぶという「プレゼンシング」の概念を紹介した。
(一般的に、何かを生み出したり、問題解決するときは、過去の経験や過去に学んだことを元に考えます。
そうではなくて、「これから起こるであろう未来から学習する」という新しい切り口、考え方が素晴らしく、しかも裏付けとしての調査や研究がその理論の正当性を強固にしています)
カトリン・カウファーとの共著「出現する未来から導く」はマインドフルネスのビジネス、社会、自己への応用に焦点を当てている。
中国とインドネシアでセクター横断型イノベーションのためのMIT IDEAS プログラムの座長を務めるほか、MIT X U.LAB を通して185か国の75,000人に変革を導くリーダーシップのための学習を提供している。
ピーター・センゲさんと言えばこれです!U理論との関りが非常に大きい。
改めて
U理論とは?
「過去の延長線上ではない変容やイノベーションを個人、ペア(1対1の関係)、チーム、組織、コミュニティ、社会のレベルで起こすための原理と実践の手法を明示した理論」
です。
違う言い方をしますと下記のようになります。
何か問題を解決したいときや、新しい発想を生み出そうとするとき、
過去の経験や過去に学んだこと、固定化した思い込みや枠組みから学ぶのではなく、
「これから出現するであろう最高の未来から学ぶ方法」
ん!?(≧◇≦)
と初めは思いますが、
本書ではアルベルト・アインシュタインの言葉などを借りたりして、様々な切り口で説明されています。
例えば、
「今日 我々の直面する重要な問題は、その問題を作った時と同じ思考レベルでは解決できない」(アルベルト・アインシュタイン)
つまり、複雑化した現代社会、VUCAの時代には、出現する複雑な問題を今まで通りの思考方法では太刀打ちできなくなってきている。
過去に経験したことや学んだことでは、解決できない世の中になってきている。
だから、自分が(我々が)思う最高の未来からインスピレーションやアイデアを得て、自分の内面も変容させ、聞く力も変容させ、リーダーシップを発揮し、
これからも現れ続ける ”複雑な” 問題を解決していこうじゃないか。
その方法がこのU理論に凝縮しているよ。
というような感じです(#^.^#)
じゃあ、どうすれば
自分の内面も変容させ、聞く力も変容させ、リーダーシップを発揮し・・・
ができるのか、それがU理論の中にあります。
人それぞれ解釈は違うと思いますが、
U理論関係の上記した5冊の本を読んで、わたしなりにかみ砕いた解釈です!
ちなみに・・・
U理論で扱われる複雑な問題とは、下記3つです。
①ダイナミックな複雑性
→原因と結果が時間的・空間的に離れていることによって生じる複雑性
②社会的な複雑性
→価値観・信念・利害が相反していることによって生じる複雑性
③出現する複雑性
→予測不可能性が高い変化によって生じる複雑性
それぞれの本でこの複雑性についてはわかりやすく説明されています。
特に、上記③の「出現する複雑性」をもった問題にU理論は効果的です。
そして、そのU理論のポイントとなるのが、下の図です!
U理論[第二版]――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
著者は、Uの形のように7つのステップを左上から下り、右上へとのぼっていくため、U理論と名付けました。
過去の延長線上ではない変容やイノベーションを個人、ペア(1対1の関係)、チーム、組織、コミュニティ、社会のレベルで起こすためには、
このUの形(Uの谷)を下って、登っていけば良い
ということです。
では、そのステップを順に簡単にまとめます!
①ダウンローディングとは -Downloading-
Uの谷の一番下にプレゼンシングというステップがありますが、
そこまで下がっていく左側の部分は
「センシング:ただ、ひたすら観察する」領域と言われます。
その1つ目にあたるダウンローディングについて。
過去の経験によって自分の中で凝り固まった枠組みや考えを自分の中に再現(棚卸し)している状態を表します。
例えば、
Aさん「B課長!これ以上の仕事は今の人数ではこなせません。人事部に話をして増員を依頼してください!」
B課長「人なんかそんなに簡単に増やせるわけないだろ!それでなくても今期は売上が下がっていて苦しい状況なんだから。
少しは生産性を上げる方法を自分で考えなさい!」
B課長の「心の中の声」
(またA君は泣き言を言っている・・・。全力も尽くさないで・・・。
私が若い頃は夜中まで働いたものだ!
A君は楽することばかり考える。このままでは成長しないぞ!)
Aさんの心の中の声
(もー!B課長はいっつもそうやって話を聞いてくれない!!
この人はいつもそうだ。頭ごなしに精神論ばかり言ってくる。
売上売上って、やる事が多すぎてわたし達のモチベーションも上がらない!
もっと良い上司の下で働きたいよ)
このAさんとB課長が「心の声を発している状態」が、
まさに「ダウンローディング」です。
過去の経験や思い込みで自分で解釈、判断をくだしてしまって、しっかり会話をしていない状態です。
ダウンローディングの状態においては、意識の矛先は頭の中の会話に向けられていて、
同じ行動パターンの繰り返しを生み出す。
相手は話を聞いてもらえない感覚に陥り、相手もダウンローディングになる。
この状態のレベルを本書では、ソーシャルフィールドLV.1としています。
②観るとは -Seeing-
目の前の事象、情報、状況に意識の矛先が向けられ、釘づけになること。
自分の頭の中の会話、頭の中の思い込みや偏見、枠組みではなく、しっかりと相手の話していることに耳を傾け、事実をキチンと観ることです。
コンサルタントの方などは、この「観る」のスペシャリストだという例えもあります。
「FACT(事実)!FACT(事実)!FACT(事実)! 勝手な解釈をせず、まずその事実、現実をしっかりと確認して(観て)データを集めるんだ!」という風に。
ダウンローディングの状態から抜け出して、「観る」に移行することで、目の前に集中しはじめ、議論が活発になり、話し合いは熱を帯びてきます。
当たり障りのない会話 → しっかりとした討論・議論 になります。
ダウンローディングが継続している時に比べると、「観る」に移行するだけで生産性は向上しているといえます。
しかし、「観る」の状態のままでは、議論が平行線をたどったり、堂々巡りをするといった形で問題を解決できないままの状態が続いたり、停滞したりすることがあります。
討論だけして、結局何も解決せず、対立したまま・・・なども起こりえます。
「観る」の状態は、過去の枠組みが刺激されることで生じる「思考の会話」の囚われからは解放され、目の前の状況に釘づけになってはいますが、過去の枠組みそのものが変わったわけではありません。
つまり
「増員しないと仕事がまわらない!人事部に話をするべきだ!!」
「すぐに楽をしようとする!頭を使って生産性を上げるべきだ!!
売上が上がっていない現状、生産性が上がらないなら根性で乗り切るべきだ!」
そんな枠組みや固定観念は何も変化せず、強固に残っています。。。
ソーシャルフィールドLV.2 の状態です。
③感じ取るとは -Sensing-
7つのステップの第3段階。
自分の過去の枠組みが崩壊することで、視座が転換する段階。
これまでとは状況の見え方や物事の感じ取り方が変わります。
著者は「自分の靴を脱いで、相手の靴を履いている状態」と表しています。
又は、「自分の目玉ではなく、相手の目玉でその事実や状況を眺める」、
「他人の目玉から自分を眺める」
これらのような表現を多く引用されています。
つまり、
相手の立場になって考える
相手の気持ちに共感する
相手が話している事実の背景まで感じ取り、なぜそのような事を言っているのか?までをよく観て共感する
相手の視座になる状態です。
シンパシーやエンパシーという言葉で表現できますが、どちらかというと
「エンパシー」に近いです。
親になって初めて親の気持ちがわかった。
部下を持って、あの時に上司が何度も言っていたことがよくわかった。
こういった体験を抱いた時が「感じ取る Sensing」にあたります。
よく、「相手の立場になって考えなさい」「顧客視点に立ったサービスをしなさい」という言葉が使われますが、それは全て「感じ取る」というソーシャルフィールドLV.3 の状態に入ることを促しています。
ここまで来てお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
ソーシャルフィールドというのは
「会話のレベル」だと解釈しても問題ないと思います。
コーチングにも似ているとよく言われます。
(ただ教えるだけのティーチングではないです)
相手の潜在能力を引き出すために、相手の気持ちになって、相手の視座になって会話をする。質問をして相手の中にあるものを引き出す。
そして相手に共感し、感情移入し、相手のポテンシャルを発揮させる。
視座を変換しないとコーチングはできないからです。
製品を改良しようとするとき、まさにその製品を使っている顧客の中に入り、一緒にその製品を使ってみる。使い続けて顧客の気持ちになる。顧客の視座に立つ。
そのような状態です。
この「視座」については、「U理論入門」等の著者である中土井様のセミナーを受講させていただきましたが、かなり奥が深く、非常に学びの多いセミナーでした。
目から鱗の話が盛りだくさんで、もっと早く受講すれば良かったと思いました。(#^.^#)
↓U理論入門編の詳細はこちら↓
そもそも
視座とは何か?
視座を高めるにはどうすれば良いか?
興味がある方は是非受講してみてください。かなりおすすめです!
④プレゼンシングとは -Presencing-
U理論の根幹ともいえるプレゼンシング。
ですが、その根幹が理解できないためにU理論を受け付けない方が多いと思います。
とってももったいないです!
皆さん体験したことがある状態の事なので安心してください。
関連書籍には、
プレゼンシングとは
・進化の源(ソース)そのものである「出現しつつある未来」と繋がり、大きな自己として何かを生み出していくU理論の根幹をなすステップである。
・Presencingとは、Sensing(感じ取る)とPresence(存在)の混成語であり、最高の未来の可能性の源とつながり、それを今に持ち込むことである。
・プレゼンシングの状態へと移っていくと、我々は自分次第で現実になり得る未来の可能性からものを見るようになる。
・プレゼンシングは感じ取る(Sensing)ことと似ている。どちらも組織の内側から外側へ視座がシフトする。重要な違いは、感じ取ることが視座を現時点の全体に移行するのに対し、プレゼンシングは出現する未来の全体の源、つまり出現しようとしている未来の可能性に移行することだ。
・未来の可能性が「蜘蛛の糸」を垂らしてくれるようなもので、過去や現時点での視座ではたどり着けなかった領域にたどり着こうとする試みのようなもの。
なんだか抽象的というか、表現が難解で理解しにくいですよね(^_-)-☆
わたしにも初めは理解できませんでした*1
しかし、これらのことがわかるような説明が関連書籍の随所に散りばめられています。
何度も読み返したり、YouTubeを視聴したり、セミナーに参加することでわかってきます。
私なりに解釈しますと(知った風に言って、本当に説明が下手くそですみません)
自分本位な視座ではなく(自分の立場や自分のフィルターだけを通してモノゴトを捉えるのでもなく)、関係者全員の状況や言動、その言動を起こしている相手の背景や事情や心境などを理解して、同じ立場になって考えたり行動したりする。
そして関係者と対話を重ねる。
当たり障りのない会話でなく、議論や討論でもなく、対話を重ねてお互いがお互いを感じ合う。本音で深いところまで対話する。
やるべきこと(Should)、やった場合に起こりそうなこと(could be)、できること(can)、やりたいこと(will)、それらを交えて対話する。
そして、全体像やその関係性など(システム)から詳細まで観て、感じて、考えに考えた後、休憩したり、リラックスして休む。
静かな所で一度空っぽになる。自然の中を散歩しても良いし、街中をぼーっと歩いても良い。ゆっくりお風呂に入るのもいい。
そのようなときに、何か自分が執着していることを手放す。自己同一視※から発生している執着を手放す。
例えば自分だけ良い評価を得ようとか、利益とか、役職とか、既得権益とか、そして凝り固まった自分の認識や思考を一旦手放す。自分のフィルターを外す。しがみついている考えや価値観を手放す。勇気を出して、恐れずに手放す。
そのような状況になったとき、ふと良いアイデアが浮かぶ。何か新しい発想がひらめく。インスパイアされる。それを抵抗せずに受け入れる。ふっと頭に浮かんだことを浮かんだままに感じ取る。
そのような流れで行きつく状態がプレゼンシングの状態だと解釈しています。
(文章力が無くてすみませんm(_ _)m)
※自己同一視とは、例えば自分の車をこよなく愛している人が、自分の愛車をけなされるとめちゃくちゃ怒ります。それは、その人が車を自己同一視しているから。
歴史が好きな人が、「歴史なんかより未来や科学を学んだ方が良いんじゃね」とか言われたときに悲しんだり、怒ったりする。それは自分の歴史に対する価値観と自分を自己同一視しているから。
京セラの稲森和夫さんも数々の書籍で仰っていました。
本当に「こうしたい!」「どうしたら良いのか!?」というのを、寝ていても考えていた。その部品や製品を枕元に置いてまで考え続け、何度もその夢をみた。
考えて考えて、考え抜いていたら、ふとした瞬間に解決策が浮かんできたんだ。
突然アイデアが浮かんでくるんだ。
人間そこまで考えて、もう考えることが無いくらいに考えて、もう何も浮かばない・・・と力を抜いて別のことをしている時にひらめくんだ」と。
名著「アイデアのつくり方」ジェームス・W・ヤング著
にも似たような事が書かれています(^^)/
アイデアは、
「材料収集」→「材料の消化」→「孵(ふ)化」→「誕生」→「検証と発展」
という過程で作られる。
この中では、「孵化」の部分が特徴的。
つまり、あれこれと情報を加工して思考を巡らせた後で、問題を放り出し、
できるだけ問題を心の外に追い出してしまうのである。
そして、十分に孵化した時点で、
「ふとした瞬間」にあたるアイデアの誕生の時が自然にやってくる。
問題にぶち当たって、考えに考え抜いている時には、良いアイデアが浮かばない。
が、その問題を忘れた頃、何気ない瞬間に不意に「わかった! これだ!」ということを多くの人が何度も経験しているのではないだろうか。
どうでしょうか!?
2名に共通していることは、
①考え抜くこと
②一旦問題を忘れる(手放す)こと
まさに、プレゼンシングの状態だと思います。
U理論関連の本には、作曲家が曲をつくる時の発想プロセスや、スポーツ選手がゾーンに入る状態の例などを挙げて非常にわかりやすく説明されています。
この よく聞くゾーンも広い意味でプレゼンシングの状態だといえるようです。
先ほどのUの谷に色々と書籍から得た情報を書き込んでいくと、どんどんわかり易くなっていきます!
(が、書いたわたしにしか解読不能ですよね(m´・ω・`)m ゴメンナサイ。
確かにプレゼンシングに入る前にはVOF(Voice Of Fear:恐れの声)という邪魔者がいますが、勇気を出してその恐れを乗り越える必要があります。
そして恐れを乗り越えて手放す(Letting go)という過程をたどり、プレゼンシングという状態に到達します。
⑤結晶化とは -Crystallizing-
Uの谷の右側「クリエイティング:素早く、即興的に行動に移す」プロセスに入ります。
プレゼンシングまでが行動の起点となる内面の状態を転換するものでしたが、「結晶化」以降のステップは、自分自身を通して出現しようとしている未来を具現化していくことになります。
そしてこの「結晶化」とは、
書籍では、
「ビジョンと意図を明らかにする」
というような表現がなされています。
ちょっとわかりにくいです(^_-)
すごくシンプルに解釈しますと、
プレゼンシングで得た発想やアイデア、インスピレーションなどを具体的に手や身体を使って目に見える形にしていくことです。
絵や図を描いたり、粘土をこねて形やイメージを作ったり、創作ダンスで表現したりして目に見えるモノにしていくステップです。
会社で日常的に行っているブレーンストーミングを行って、インスパイアされたもの(浮かんだアイデア)の輪郭を明確にしていくステップも「結晶化」です。
ここでいうビジョンとは、よく会社が作るスローガンみたいなものではないです。
絵に描いた餅 や 笛吹けども踊らず みたいなビジョンではないビジョンです。
ゴールのようなビジョンではなく、問いから生まれるビジョンです。
問題はあくまで「内」にあると捉えて、
自分たちが問題を生み出す一因になっていることに気づきながら、
問題に対応しようとして明らかにしていくビジョン。
つくられるビジョンではなく、明らかになるビジョンです。
詳細は書籍に委ねますが、このビジョンもすごーく深いです(^^♪
ここだけ書籍で学んでも、十分価値があるくらい深いです。
⑥プロトタイピングとは -Prototyping-
ここにきて、ようやくしっかりとした「行動」を起こすステップです。
プロトタイピングは、試行錯誤しながらアウトプットを生み出していくプロセスであり、アウトプットの質を高めるための行動の側面に着目しています。
ただし、闇雲に試行錯誤すればいいというものではなく、「自分の奥底にある直感と意志にたえず繋がり、その繋がりを強くしっかりと保持しながら、自分の行動に対するフィードバックに耳を傾ける能力」が必要となり、
「全体を理解して計画を立てる前に行動を迫り、頭と心と手に宿る知恵を1つにして、使えるようにすること」が求められると著者のシャーマー博士は言及しています。
つまり、このプロトタイピングは、先ほどまでの「センシング」「プレゼンシング」と切り離された別個のものではなく、そのプロセスを通して沸き起こっている直感や意志との繋がりがあってこそ、成立するものといえます。
ですので、しっかりと「センシング」と「プレゼンシング」というプロセスを経て出てきた発想でイメージを出し、そのイメージを元に試行錯誤しなければならないよ、
その場の思い付きや頭だけで考えて思考錯誤してもだめですよ。
①「手の知性」②「心の知性」③「頭の知性」をつかってイメージしたものを形にしていき、そしてちゃんと関係者に意見を求め、フィードバックをもらいながら試行錯誤しなさいよ。試作を作りなさいよ。解決策を出しなさいよ。
というようなことです。
「頭の知性」は最後というところもポイントです!
頭ではなく、浮かんできた発想をまずは手や身体を使って見える形にし、心で意図を感じ取り、そこに頭で考えて肉付けしていくという感じです。
作曲家が頭で考えて楽譜を書くのではなく、まずギターやピアノを「手を使って奏でながら」発想を得るのに似ていますね(#^.^#)
その他の言い回しを少しご紹介しますと♪♪
「センシング」「プレゼンシング」で着想として得たインスピレーションに肉付けしていくのがプロトタイピングである。
「パイロットプロジェクト※」は成功しなければならないが、「プロトタイピング」の狙いは学習の最大化にある。
パイロットプロジェクト:テストや試行として企画された活動。期間限定であり、目的やゴールを定めて、それに向かって適切な手段をあらかじめ検討・設定してから着手する活動。
狙いが「学習の最大化」というのは、一時的に目標やゴールを目指して成果・成功を得るための進め方ではなくて、ジムに通いながら、継続的に鍛えながら体を作り上げていくようなことだと解釈します。
関係者で何度もUの谷を下りたり、登ったりしながら、皆で学習のサイクルを回すというような事です。Uの谷を継続的に上り下りすることで、発想を強化し、発想からの具体化をより良くしていくと解釈します。
学習のサイクルという時点でやはりピーター・センゲさんの「学習する組織」が大きく関係しています!
⑦実践とは -Performing-
関連書籍からの言葉を使って書きますと
・プロトタイピングまでが練習場や実験室、もしくはプロジェクトの中で行われてきた活動なのに対して、繭(まゆ:コクーン)から出てより公の場で繰り広げられ、本番の舞台や関係者、世間一般の日常に組み込まれていく段階が「実践」である。
・プロトタイピングまでのプロセスを通して出てきた芽が、他の動植物、太陽や雨風といった周辺環境と作用しながら、大木となって根を張るためのステップ
・プロトタイピングの段階ではまだ作りてがそれに関わっている状態にある。それに対して「実践」の段階に入ると、作り手の手を離れ、それを使用/利用する人たちの手に渡っていく。
つまり簡単に解釈しますと
作りてがU理論のプロセスを経て出した作品を 関係者である使い手や利用者が実際に使い、使いながらも使い手もU理論のプロセス(作品を観て、感じ取り、何か発想やインスピレーションを得る、そこからイメージを作る、そしてフィードバックを行う)を日々実践して関り続け、作品を進化させていくこと。
試作(プロトタイプ)を作って、はい量産、使ってくださいねー( ゚Д゚)
ではないんですね。
この実践の営みを可能にしていく上で重要になるのが
水平と垂直の展開 です。
水平展開とは、「境界」を超えた幅広い協働
垂直展開とは、日常的な源(ソース)との繋がり
のことです。
ちょっとわかりにくいですね。
つまり
水平方向について、「境界」を超えた幅広い協働とは?
境界とは、会社であれば部署間の境界、上司部下の境界、先輩後輩の境界、顧客と作り手との境界、サプライチェーンにある境界、ステークホルダー(利害関係者)との境界、様々な境界のことを示します。
それらの境界なんて関係なく乗り越え、支え合う姿勢が大切だということです。
支え合うことで、論理を超えた、人間が持つエネルギーを引き出すことができるのです。そのエネルギーが組織力、我々の暮らす社会システムを育てていく。そしてさらに日々の実践力(パフォーミング力)を養っていくことができる。
こうした実践を積み重ねることで、「一肌脱ぐ」という文化が出来上がっていき、関わり合う人が普段から共に探求し、、一貫した行動を続けることができ、より生み出されたものは良くなり、我々を豊かにしてくれる。というようなことです。
では、
垂直方向について、日常的な源(ソース)との繋がりとは?
U理論のならではの考え方ですが、書籍では
垂直方向へ展開し、日常的な源(ソース)と繋がるとは、
常にUの谷を潜り、プレゼンシングにたどり着き、何度も源(ソース)につながることを習慣化していくことで、水平方向の協働を働きかける際にもダウンローディングに陥ることなく、対話の中から未来を出現させ、お互いに手を取り合って、活動を推進していくこと とあります。
ちょっとわかりにくいですね(#^.^#)
書籍の中で最もわかりやすかった事例として
イチロー選手が毎打席、毎打席、最高のスイングができるように日々の生活習慣も含めてコンディションを整えていることと似ている、という事例です。
つまり、自分の行動や考えを起こしているモノ(源:ソース)や、自分の根底にある自分自身の存在意義を常に考え、内省・内観し(客観的に自分自身を観ること)、
「本当に大切にしていること」を存在させようとする気持ちを持ち続けることだと思います。
そうした水平方向と垂直方向の原則に基づいて「実践」しないと、U理論の7つ目のステップである「実践」にはならない ということです。
少し長くなりましたが、どうだったでしょうか。
少しでもU理論について知ってもらえると嬉しいです。
全知全能ではないわたしたち人間がVUCAの時代(観測史上初が多い時代、新型ウイルスが発生して生活や仕事の常態が変化する時代、大企業が次々と倒産や吸収される時代、モノが売れないない時代、デフレが続く時代、給料が上がらない、予測できない時代)をこれから職業人として生きていくには、このU理論はとても役立っていくと思います。
Uの谷の反対側に、上下反転したUがあります。そちらのUプロセス(観ない、感知しない、しがみつく、操る、幻想化、棄てる)をたどっている社会、会社、組織が多いということが書籍を読むとよくわかります(特にU理論[第二版])。
U理論[第二版]――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
そのプロセスの最終段階は「破壊(Destroying)」です。
どうか破壊に向かわず、U理論のプロセスを下側に下り、センシングしてプレゼンシングに入り、そしてクリエイティングできる社会にしていきたい!そう思いました。
まずは身近なチームから、そして部署、その先は会社全体、そして会社に関わる全ての方々と共に。
本当に、これから何かを学ぶとすれば、このU理論は非常に良いテーマだと思います。即興的なファスト思考で小手先のテクニックを学ぶのも良いかもしれませんが、一度地に足を付けて、学ぶだけの価値は十分にあると思います。おススメです!
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