時代は再び大きな転換期を迎えている。
「会社や社会に与えられる人生ではなく、自分の人生を生きる。」
そのためには美意識やデザイン思考も重要だが、
『東洋思想的なアプローチ』が必要になってきている!
なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか 史上最高のビジネス教養「老子」「論語」「禅」で激変する時代を生き残れ
じゃあ、
その東洋思想ってどんな思想なの?
具体的に、誰のどんな考え方なの?
仕事でどう活かせるの?
って疑問がわいてきます。
そんな疑問にわかりやすく著者が説明してくれる良本です(≧◇≦)
昨今の激しい様々な変化を明らかにしながら、
7つのパラダイムシフトを説明し、
そのパラダイムシフトの根底となる
「東洋思想」について説明している本です。
理系出身だから・・・文系だけど・・・
「論語」「老子」「孔子」「儒教」とかよくわからない。
まったく興味が無かった。
けど、最近流行っているし、必要そうだから少し知りたいと思われている方。
実際東洋思想がなぜビジネスマン(欧米の起業家や日本の大企業のトップ)に流行っているのか知りたい方。
またその中身を知ることで、今後の仕事にその考え方や切り口を活かしたい方にはおすすめの本です!
著者は東洋思想研究者。日本大学芸術学部卒業後、日本映画社入社。
新進の記録映画監督として活躍中、25歳のとき、タイで重傷を負い、生死の境で「老子」と出会う。
以後、中国古典思想研究に従事。1972年、株式会社イメージプラン創業、代表取締役を務める。東洋リーダーシップ論を核に置き、2000社にわたる企業変革指導を行う。
私の好きな本でもある「超訳 孫子の兵法」の著者でもあります。
超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール (知的生きかた文庫)
この本では、今世の中で起こっている変化を2つの切り口で紐解いています。
1つは、「7つのパラダイムシフト」としての切り口から、「変化の正体」を分析しています。
2つ目は、「西洋と東洋の知の融合」という切り口です。
これまで私たちが生きてきた時代・社会は、原則として「近代西洋思想」をベースとして作られてきた。この近代西洋文明をベースとしたパラダイムが、あちこちで破綻(はたん)してきている。
※パラダイムとは、「7つの習慣」でもキーワードとして出てきますが、
「構造、考え方、心の中や頭の中の地図、理論」みたいな意味です。
そういったものが変化して変わってきていることを「パラダイムシフト」と呼んだりします。
ポイントとして、
・西洋:外側にある対象に向かう 東洋:内側にある対象に向かう
西洋思想では、「外側」に関心の中心が置かれ、「誰でも理解できること」「普遍性」を重視し、モジュール化に適している。
東洋思想は、「自分の心の中」に関心が向けられる。自己の内なる仏や神に気づくこと、自己の仏性、神的に目覚めることを重視する。
幕末の思想家 佐久間象山は、「東洋道徳、西洋芸」という言葉で両者を対比した。
つまり、東洋は「精神」、西洋は「技術」に長けていると。
・7つのパラダイムシフトとは!?
①「機械的数学論」から「人間的生命論」へ
②「結果主義」から「プロセス主義」へ
③「技術・能力偏重」から「人間性重視」へ
④「見える世界・データ主義」から「見えない世界、直感主義」へ
⑤「外側志向」から「内側志向」へ
⑥「細分化・専門化型アプローチ」から「包括的アプローチ」へ
⓻「自他分離・主客分離」から「自他非分離・主客非分離」へ
この7つのパラダイムシフトを知れば、
少なくとも今の時代の「どの部分が、どのように変化しているのか」を理解することができると著者は冒頭に述べています♪♪
現に読み進めながら、1つ1つの変化の具体例やその変化の源泉を
東洋思想を用いてわかりやすく説明されており、
この先どうなっていくか!?
だからどう備えるべきか!?
どう考えて生きていくいくべきか!?
ということが勉強になり、とても役に立ちました。
これからもこの本は役立っていくと思います(#^.^#)
①「機械的数字論」から「人間的生命論」へ
中世ヨーロッパでは、「客観性の無さ」のため、不納得感が多かった。
殆どの理由が「神のお告げ」であったから。
そこに産業革命とともに訪れた「客観性」。
同じ時間で10個生産できる人は、5個の人よりも優れているという考え方。
これこそ「機械的数学論」であり、
近代西洋文明を始まりとした「人々の思考」「価値観」のベースになっている。
人間を機械的に評価し、すべてを数字で割り切っていく。
そして、現代では、
「もっと人間的に」「もっと楽しく」という思想。
ディーセントワーク(働きがいのある、人間らしい仕事)とも言える。
今という時代、マネジメント層が考えなければならないのは、「楽しさ」「やりがい」「意欲」といった『より人間的な部分』へのアプローチである。
人間的、生命的な部分にアプローチしなければ、本当の意味でのモチベーションは上がらない。少なくとも、「継続的なモチベーションアップにはならない」という考え方が主流になってきている。
老子も、自分なりの「楽しさ」を大切にして、自らの「命を喜ばす」生き方を説いている。
こうしたパラダイムの変化を受け入れられない
= 環境に適応できない = 生き残れない。
だから今、欧米の起業家や日本の大企業のトップたちはこぞって東洋思想を学びはじめている。
どんな人からイノベーティブなアイデアは出てくるのか?
「楽しんでいる人」であり、「遊び半分の人」であり、「無駄なことをしている人」。
老子は、「無用の用」という言葉でこれを示唆している。
「近代西洋思想偏重」から「西洋と東洋の知の融合」が求められている。
②「結果主義」から「プロセス主義」へ
結果主義というのは、「がんばれば、結果がでる」と「結果よければ、すべてよし」の2つから成り立っている。
高度経済成長期はこれでよかった。
しかし経済成長が止まってしまった現代では、この考え方に陰りが見え始めている。
老子が説いたのは、「やり過ぎてもうまくいかない」「自然のままにしていれば、万事うまくいく」「自然との調和を大事にする」
→「今、ワクワクしているか」が最優先
→「今を大事にする」という発想
つまり、
今、自分は楽しいか?
今、ワクワクしているか?
「結果」よりも「プロセスそのもの」を大事にする世の中がやってきている。
「今、ここ」を大切にするマインドフルネスや禅、座禅が流行っている現代も説明がつく。(元アップルのジョブズやグーグル、インテルなどの最先端企業もマインドフルネスや禅仏教を研修に取り入れている。)
マインドフルネスについては、以前ご紹介したこの本もご参考に!
西洋の庭園が「完成したものを眺める」(左右対称、人工的な美しさ)という結果主義に近い思想に根付いているのに対し、日本の庭園が「プロセスを楽しむ」(自然を生かした回遊式庭園、歩きながら楽しむ)という思想を持っている点は非常に興味深い対比である。
「働き方改革」のヒントは「茶の湯」や「論語」に隠れている。
論語の一説にあるように、いかにして「楽しむか」が大事であり、
「楽しむ者」こそが最強の時代は既に到来している。
「生産性を高めよう」「残業時間を減らそう」という取り組みも大事だが、
いかに「楽しむ者」を増やしていくか。
そこに注力するのが、これからのリーダーの使命である。
③「技術・能力偏重」から「人間性重視」へ
前項の「結果主義」から「プロセス主義」へのシフトに似ている。
「結果主義」が通用しなくなってきている。
MBAに代表されるビジネススキルというものは過去の成功パターンを徹底的に研究し、高度に昇華させたコンテンツ。
時代は「成長」「安定」「転換」というフェーズを繰り返すが、「転換」の時代には過去の成功パターンは通用しない。だからMBAで学ぶビジネススキルも通用しない。
「結果主義」の頃のように、「人間性に問題があっても、圧倒的な結果をたたき出す人」と一緒に働き、ビジネスをやっていきたいと思うでしょうか。
きっと、そうは思わないはず。
ワクワク、楽しく仕事をするなら、
やはり「人間的に魅力にあふれた人」
「一緒に楽しさを共有できる人」と一緒に働きたい
という世の中になっている。
論語の有名な言葉が、この神髄を示している。
「政治や経営を『徳』を重視して行えば、北極星はじっとして動かないが、多くの星がその周りに集まり、働いてくれるようになる。」
まさに、この言葉通りのことを世界のトップたちは感じているからこそ、
口を揃えて
「『徳(Virtue)』が大事である」
と言うのである。
人工知能AIは、人間の「考える」という行為と、「判断する」という役割を担おうとしている。これもまた、「技術・能力偏重」から「人間性重視」へというパラダイムシフトを引き起こす原因の1つになっている。
では、その『徳』とは何か?『徳のある人』とは、どんな人なのか。
論語の中にある、孔子とその弟子とのやりとりに答えがある。
シンプルに
「自分が嫌だと思うことは、人にしない」
「自分の最善を他者に尽くす」
これを実践し続けられている人こそが、『徳のある人物』である。
④「見える世界、データ主義」から
「見えない世界、直感主義」へ
成長期や安定期では、過去を分析すれば、ある程度の未来を予測することができた。
しかし、転換期は、「過去とまったく異なる未来」が訪れる時代。
そんな時代、世の中で相対的に重要度が増しているのが、
「見えない世界」であり、「直感」である。
ジョブズはユーザーニーズを分析してスマートフォンが求められていることを導いたでしょうか。そんなことはない。
スマートフォンが存在しない世の中で、そんなニーズをつかむことは不可能。
では、なぜできたのか?
それが「直感」である。
ジョブズの言葉で
「人は、見せてもらうまで『何がほしいか』わからないものだ。」
相手が欲しがっているものをリサーチして、分析するのではなく、
それを先回りして、「こんなものが欲しかったんでしょ」と提示する。
そうやって提示するまで、そもそも人は「自分が何を求めているのか」をわからない。
近代西洋文明では、「見える世界」のデータを分析し、いかに消費者のニーズを満たすかということを考える。
一方、東洋思想のDNAを自然に持っている私たちは「人の心」という「見えない世界」を繊細に感じ取り、直感で人を喜ばせることを考える。
老子の「道(タオ)」という言葉をご存知でしょうか。
「道の道とすべきは常道に非ず。」
つまり、
「これが道である」と言い表せるようなものは、本当の「道」ではない。
ということである。
言葉で表現できることには限界がある。
目に見えるものがすべてではない。
ビジネスの現場でも、こうした感性や精神性が重要視されるようになってきている。
そもそもプロフェッショナルとはどんな人なのか?
反対語のアマチュアから考える。
アマチュア:素人
プロフェッショナル:玄人
「素」という文字は、本来「紡(つむ)ぎたての糸」のこと。
真っ白で何にも染まっておらず、それだけ弱い存在だということ。
(糸は強くするために藍などで染められていた)
玄人の「玄」という字は、もともと「くろい」という意味。糸が藍で染められ、強化され、「黒くなっている状態」。
この「くろい」という意味が少しずつ「暗い」というニュアンスをも表すようになり、東洋思想的に「プロフェッショナル」は「玄人」となり、「玄人」は「暗いところが見える人」となる。
「暗いところ」とは、「一寸先は闇」という言葉もあるように、「次の瞬間」「未来」というのも「暗いところ」の一つ。
あるいは、「人の心」も「暗いところ」といえる。
つまり、プロフェッショナルとは、素人や常人には見えない「未来」や「人の心」が見えている人である。
優秀なビジネスパーソンは、
ちょっとした状況の変化や情報を敏感に察知し、
常に次の展開を読みながら
働いている。
「ヒト・モノ・カネ」よりも、現代では「見えないもの」の価値が高まってきている。
それは、「信用」や「信頼」、「ブランド」であり、明文化できないレベルの「ノウハウ」である。
イオングループの会長である岡田卓也氏の実の姉で、イオングループの成長を支えた立役者として名高い小嶋千鶴子さんは、
「見えないものに重々神経を使うように」
とイオンの幹部社員に言っている。
この「見えないもの」とは何か。
それを知るためにも、多くのトップリーダーたちが東洋思想を学んでいる。
⑤「外側志向」から「内側志向」へ
上に述べたこと、つまり
機械的に数字を叩き出すことが重要視されていた時代から、
もっと人として「ワクワクできること」「徳を持っていること」
の重要性が高まっているというのも「外から内へ」の変化の一つ。
また、マーケティングデータを重視した判断から、
より直感を大事にするというのも「外から内へ」という変化である。
20年、30年前は、「出世のためにがんばる」「出世競争に勝つ!」という時代だった。今は、「出世なんかより、楽に楽しく働きたい」「生活できるレベルのお金があれば十分」というマインドに変わってきている。
「自分がワクワクできるか」
「やりがいを持てるか」
「自分を成長させられるか」
という内的価値を重視するようになっている。
いわゆる「外的要素」(条件の良さ、体面の良さ)より、自分の内面的な満足度や価値観を大事にしている。
日本人の「勤勉さ」はどこから来ているのか?
西洋は、
「外的な圧力によって、自らを正していく」というアプローチ。
東洋の仏教のベースにあるものは、ブディズム。
「ブディズムとは、『目覚めた人(ブッダ)』を絶対視する」という思想。
それは、自己に目覚めるということであり、
「自分の内側を徹底的に見つめ、自分自身に目覚める」ということ。
これが仏教で大切にしていること。
欧米的な「外側からの教えに従う」という発想とは違う。
ただひたすらに打ち込むことの大切さ、その精神性(心の在り方)を重要視している。
鎌倉時代の道元の教えからも学ぶことができる。
「周りの人に幸せそうに見えるか」ではなく、
あなた自身が「本当に幸せなのか」が問われる時代。
周りからの目ではなく、
自分がどう思うか。
時代は明らかに「客観から主観へ」と重心が動いてきている。
⑥「細分化・専門化型アプローチ」から
「包括的アプローチ」へ
転換期には「選んで、狭く勝負する」という
いわゆる「細分化型アプローチ」ではなく、
もっと広い視野で物事を捉える「包括的アプローチ」が相対的に必要となってくる。
「選択と集中」が通用するのは成長期と安定期だけである。
Q:どうすれば、イノベーションを起こせるのか?
A:相反する要素を成り立たせる
矛盾を解決する
働き方改革や生産性向上も結局はこの答えにいきつく。
大原則として、仕事の成果とは、「かかる時間」に比例する。
一日働くより、二日働く方が、より大きな成果を生む。当たり前の話。
しかし、
働き方改革では、「時間を減らして、成果を維持する」あるいは、「時間を減らして、成果もアップさせる」という完全な「矛盾の解決」に取り組もうとしている。
特定の部署、部門だけで取り組んでもうまくいかない。
仕事全体を大局的に見て、包括的に捉えることで、根本的な改善がなされることはよくある。
ポイントは、「どれだけ多くの関係者が、包括的な視点を持てるか」である。
老子の言葉より。
「世の中に誕生したものはすべて、『陰』と『陽』という矛盾する二つの要素を内包している。それを『どちらをとるか』という二者択一の発想ではなく、心を空っぽにして、『陰陽両方を取る』という心持ちで、没頭没我の状態で万事に取り組むことが大事る。
そうすれば矛盾を乗り越えることができる」
時代は「直線的キャリア」から「らせん型キャリア」へ変わっている。
今求められているのは、「価値観が異なる人と協働していける力」であり、
「柔軟に自分を変えていく力」である。
転社ではなく、転職を経験している人は、らせんの幅が大きくなる。
その幅をうまく使えるか、異なる立場、文化、価値観を理解し、包括的な視野に立ってマネジメントできるか、そこが問われる時代である。
⓻「自他分離・主客分離」から
「自他非分離・主客非分離」へ
シリコンバレーでは、近年、インド人、中国人、イスラエル人の割合が圧倒的に増えている。
可能な限り情報をオープンにして、知見を共有する
ことで、より優れたEVを開発したり、自動運転の未来を実現しようとしている。
それが合理的な戦い方。
これまでの時代は、「ひたすら所有を目指す時代」。
今の時代は「所有」から「シェア」へと変わっている。
「モノがある時代」だから。「使いたいときに、使えればいい」という時代。
上司が部下に教える
部下は上司の言うとおりにする
というだけでは、戦えない時代になっている。
「主客非分離」「関係の曖昧さ」「立場の逆転」
が起こっている。
起こって当然。
これからの時代では、ますます重要になってくる。
東洋思想は、「世の中はすべてが繋がっていて、全体感の中で自分が存在している」という考え方が主流。
「個々の存在を分ける」という発想自体があまり無い。
日本には「近江商人」による「商売の極意」として「三方よし」がある。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」。これも自他非分離の一つ。
「自分」と「相手」はもちろん、世間様も一緒によくなっていかなければならない。
こうした社会を意識したビジネスマインドは、今や一回りして非常に現代的な感覚となっている。
サステナビリティ(持続可能な社会)を作っていくことも、東洋思想的な発想から生まれている。
著者は、「世界は今、大転換期を迎えている。『経済の転換期』と『文明の転換期』がぴったりと重なる大きな曲がり角の時代を私たちは生きている」と言います。
このような時代を生きるにあたり、私たちは何を考え、何をより所にしていけばいいのでしょうか。そのヒントは紛れもなく、「東洋思想のなか」にある。
キーワードは「西洋と東洋知の融合」である。そう強く書かれています!
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