ビジネス書、特に読書術関係の本を読んでいると、その著者の推薦本が載っていることがよくある。そういう所に必ずといっていいほど紹介されている本の1つが、
この「影響力の武器」。
「社会心理学の本」と聞くと難しく感じるけど、要するに「人がオッケー(承諾)してしまうのはなぜか?どんなときにイエスと言ってしまうのか?逆に、どうすれば人にイエスと言わすことができるのか?説得することができるのか?」ということが、すごくわかりやすく書かれています。さすが世界中でロングセラーになっている本だと思ってしまった。
読まないと損だと思う1冊!一生使える武器を手に入れた感がハンパない。自分がつい説得されて失敗しないためにもおススメです。
営業してもなかなか買ってもらえず、成績が伸び悩んでいる人、提案書を通すのに何度も却下され、何度も書き直している人、人を説得したいときに、説得できない人、そんな方は絶対読んで、理解して、やってみて(実践して)ほしい内容です! 私もこの本(第1版か第2版)を読み、その時から上司を説得するのが本当に得意になりました。どの部署の上司でもです。部長以上にも会議で数回この本のテクニックを使ってオッケーをもらいました。ありがたい1冊です。そして、使える1冊です!
著者は、セールスマン、募金活動者、広告主、勧誘者など「説得するプロ」の世界に潜入しました。そして、彼らのテクニックやその手口から「承諾」についての人間心理のメカニズムを解明したのです。情報の氾濫する現代社会で、だまされない賢い消費者になると共に、プロの手口から 人を説得する方法を世界に広めようと本書を書かれました。
影響力の武器として6つ挙げられています。この6つのことについて、1つずつ詳しく例を挙げながら、おもしろく説明されている本です。
①返報性 (昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが)
②コミットメントと一貫性 (心に住む小さい鬼)
③社会的証明 (真実は私たちに)
④好意 (優しそうな顔をした泥棒)
⑤権威 (導かれる服従)
⑥希少性 (わずかなものについての法則)
①返報性・・・他者から与えられたら自分も同じようなやり方で、相手にお返しするように努めることを要求する。
返報性のルールは、何かをしてもらった受けてが、将来それに対してお返しをすることを義務づけるので、人は自分が何かを他者に与えても、それが決して無駄にはならないと確信している。
承諾誘導のプロたちが好んで使う儲けの手口の1つであり、最初に何か与えておいて、相手からお返しを求めるという方法。
恩を受けっぱなしにしているという気持ちよくない感情を取り除こうとして、人は受けた親切へのお返しに、それよりもかなり大きな頼みごとを聞いてしまうことが多い。
(そういえは、いつもお土産を持ってくる営業マンへは値下げの要求が甘い上司がいたな・・・。)
②コミットメントと一貫性・・・ほとんどの人には、自分の言葉、信念、考え方、行為を一貫したものにしたい、あるいは、他者からそう見られたい!という欲求がある。そこをついて影響を与えるもの。(ブレない人だなーと思ってほしいもんね)
承諾を引き出す上で鍵となるのは、最初のコミットメントを確保すること。コミットメント(つまり、自分の意見を言ったり、立場を明確にしたりすること)をしてしまうと、人はそのコミットメントに合う要求を受け入れやすくなる。
「あなたは普段から地球に優しい人だとおっしゃっていましたね。このプリンタは交換の際に処分するものが無くて全部リサイクルできるんです。地球環境にやさしい商品ですので、あならのお考えにぴったりですよね!?」と言われるとどうだろうか。普段からエコ人間と主張していた自分を否定したくないから・・・。
③社会的証明・・・人がある状況で何を信じるべきか、どのように振る舞うべきかを決める時に重視するのが、ほかの人々がそこで何を信じているか、どのように行動しているかである。
ほかの多くの人々(多ければ多いほどよい)が要請に応じた、あるいは応じようとしていると告げることによって、ある人がその要請に応じるように促すことができる。
「この地域のお子さんは殆どみんな、我が社の英語教材を使っておられます。ご近所のみなさんからとても良い教材だとご好評をいただいております。〇〇さんのお子さんにもぜひどうでしょうか。」要するにみんなががやってるなら、自分もしておこうかな・・・と合わせてしまう心理。
④好意・・・人は自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある。要するに自分の好きな人、気に入っている人からの要求にはつい答えてしまうということ。
好意に影響する要因の1つとして、身体的魅力があげられる。身体的魅力はハロー効果を生み、才能や親切さや知性といった他の特性に関する評価も高めている。
好意と承諾に影響する他の要因として、類似性がある。私たちは自分と似た人に好意を感じ、そのような人の要求に対しては、あまり考えずにイエスと言う傾向が強い。また、あまり露骨だと反感を買うが、称賛も要因の1つである。要するに適度なお世辞は影響力があるということ。
「すごいっ!さすが今までいろんな問題を解決されてきた〇〇さんですね!!今度飲みながらでも、その話をもっと詳しく聞かせてください。〇〇さんの経験からいろいろ学びたいです!!ほんと尊敬です!!」そんなこと言われたらそら悪い気はしない。いや、いい気分に誰しもなる。そしてそんなことを言ってくれる人に好意を感じ、つい何かお願いされても「俺に任せとけ!」と言ってしまう。またその承諾を引き出そうとしてくる相手が男前であったり、美女であったり、自分のタイプなら、なおさら影響力は大きいだろう。
逆に、承諾を引き出そうとしてくる相手に対して、過度の好意をもっていないかということに敏感になることが、悪影響を防ぐ有効な手段である。
⑤権威・・・。威からの要求に服従させるような強い圧力が私たちの社会に存在する。
権威者から命令されると、正常で心理的に健康な多くの人たちが、自分の意に反していても逆らうことなく、極度に危険なレベルの痛みを他者に与える。
本当の権威者は優れた知識と力をもっているのが普通なので、そうした人の命令に従うことは適応的な行為である場合が多い(たまに無能な権威者もいる?)。このような理由から、権威者に対する服従は、一種の短絡的な意思決定として、思考が伴わない形で生じてしまう。
日本のビジネスマン、特にサラリーマンだと日常的に受けている影響力。部長からの指示なので・・・。上司からの命令なので・・・。会社から1歩出ればただのおっさんなのにね。そういう抽象的なことに世の男性は弱いのだ。仕方ないのか!?
⑥希少性・・・人は機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。「数量限定」や「期間限定」といった承諾誘導の戦術が挙げられる。
希少性の原理は、商品の価値の問題だけではなく、情報の評価のされ方にも適用できる。ある情報へのアクセスが制限されると、人はそれを手に入れたくなり、また、それに賛同するようになる、という研究結果も出ている。後半が特に驚くところで、つまり、制限された情報はより説得力があるということである。
本当に毎日必ず1回は「数量限定」とか「店閉まいセール!」という広告を見る。これだけ多いと影響力が下がるんじゃないかと思うけど、自分が興味ある商品や情報になると、ついつい手に入れたくなってしまうもの。気を付けなければ。逆にこの希少性を利用して「好意」を手にするなど、合わせ技がかなり増えるかも。恐るべし影響力の武器。
著者はウィスコンシン大学卒業後、ノースカロライナ大学とコロンビア大学で大学院生活を送り、その後長らくアリゾナ州立大学で教鞭をとってきた米国を代表する社会心理学者です。社会的影響過程、援助行動、社会的規範などに関する数多くの業績で学会をリード。現在はリタイヤして名誉教授の地位にあるが、INFLUENCE AT WORK という会社を設立し、メンバーと共に各種ワークショップを開催したり、講演活動を行っている。
1よく読んできるビジネス書よりも1000円くらい価格は高い。けど他のビジネス書よりも安いと思える内容。書かれている内容を使える期間を考えるとさらに安い!となる1冊です。
人の態度や行動を変化させる心理的な力についてカンタンな語り口で解説するこの本は、科学的知識に基づいて書かれた良書として長く売れ続けています。迷ったらまず名著を読むのが王道ですので、どんな業種、職種にも活かせる1冊、絶対持っておきたい名著として、おススメです!
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