すぐに実践の役に立つ「今」読むべき1冊。
そもそもIoTとは?
AIとは?
インダストリー4.0って何?
CPS(Cyber Physical System)って何なん??
実際に生産現場でどのように役に立つものなの?
そんな疑問に答えてくれる貴重な具体例の多い本でした。
今まさに工場や生産現場をIT化、DX(デジタル トランス フォーメーション)化したいと考えている経営者、工場長、IT推進者の方にぜひ読んでいただきたい1冊です。
具体的に何をして、その結果何が得られるのか。その先にはどのようなゴールを設定しておくべきなのか。非常に勉強になる役に立つ本だと思いました。
・インダストリー4.0って何?
・スマート工場ってどんな工場?
・そもそもIoTって何?ERP??MES???PLC????って なんだんだー!
・生産現場でAIってどう役立つの?
・機械学習ってほんで何なん?
・IoTでQCDを管理できるの?(Quality Cost Deliverly)
・インダストリー4.0時代の改善活動ってどんなの?
・インダストリー4.0時代の製品開発ってどんなの?
・インダストリー4.0導入プロジェクトを進め方は?
・インダストリー4.0時代の中小企業のあり方とは?
・国から補助金って出るの?
こんなそもそもクエスチョンが頭の中でグルグルしている方にはきっと役立つ本だと思います。
↓↓ AIといえば、この本がわかりやすいです! ↓↓
著者は株式会社浜テクアート代表取締役社長であり、経営・技術コンサルタント・中小企業診断士。慶應義塾大学工学部機械工学科卒業。1979年三洋電機(現パナソニックグループ)に入社し、生産管理、生産技術を担当。1985年日本ビクター(現JVCケンウッド)に入社し、商品設計、機械設計を担当する。2006年テクノ経営総合研究所に入社し、大手・中小メーカーの経営改善、生産性向上、QCD向上に従事する。
2011年、独立して浜テクアートを創業、製造業の現場の豊富な経験をもとに、大手・中小メーカーに対し、業務改善や経営改善、新製品開発のコンサルティングを実施している。
インダストリー4.0は、元々ドイツ政府主導による次世代製造業育成施策で、2011年に採択され、2013年から実際にスタートした。
4.0(第4次)とは?
ドイツでは18世紀末の水力・蒸気機関による生産性革命を第1次、20世紀初頭の大量生産・分業・電力利用を第2次、1970年代から最近までのエレクトロニクス・IT活用による自動化の進展を第3次産業革命と位置付けている。
その先に来る画期的な生産革命を「第4次産業革命=インダストリー4.0」と呼んでいる。
その画期的な生産革命って何?
それは、CPS(Cyber Physical System)の活用によってもたらされる。
サイバーはICT(情報通信技術)、フィジカルは工場現場を指す。
各種センサーがつながったネットワーク(IoT、モノのインターネット)から各種・大量のデジタルデータが吸い上げられ、それが人工知能(AI)によって解析・活用され、ほぼ自動的に生産が進んでいく・・・このような生産現場を「スマート工場」と呼ぶ。
ドイツのスマート工場が今後グローバル・スタンダードになれば、日本の「ものづくり」はガラパゴス化してしまい、ものづくり大国から脱落する可能性が高くなり、中小企業では経営が立ち行かなくなることが予想される!ショック!
ドイツも日本と同様、中小企業の比率が高く、職人気質(クラフトマンシップ)も共通している。なのに、なぜこんな違いができた?
「IoTによるものづくりの変革」(2015年4月、経済産業省 製造産業局)という資料によると、ドイツでは、中小企業向けプラットフォームを一括で供給できる「フラウンフォーファー研究所」というシステムインテグレーターが存在するのに対し、日本ではそのようなシステムインテグレーターは大企業向けのシステム構築に集中してしまうことと、大企業もシステムを自社向けに最適化してしまい、外販しないことが問題だと指摘している。
システムインテグレーター:企業や行政の情報システムの構築、運用などの業務を一括して請け負う事業者のこと。そのような事業のことをシステムインテグレーション{SI:System Integration}という。
要するに独自システムにこだわり、既存のシステムを活用しない「日本文化」に問題があるんです。
2016年9月23日の日経の1面を飾った記事「IoT 町工場をつなぐ」というものから急速にIoTという言葉が走り出した。
大手企業の協力会社(協力工場)同士でネットワークにつないで情報を共有することで複数の企業の工場が、あたかも1つの製造ラインであるかのように進捗管理や品質管理を行い、工程全体として納期短縮をねらうことにした。
「中小企業が情報を共有しながらIoTに取り組まないと、受注競争に取り残されてしまう」とある会社の社長は危機感を表明している。
もはや自社の情報(生産稼働情報や品質情報)を他社に見せないようにして、1社だけで製造業を行う時代ではなくなってきたことが窺(うかが)える。
企業の垣根を越えて、相談や見積依頼、受発注処理、図面情報の共有、進捗や品質などの生産情報の共有を行う一連の基礎的な情報システムを確立すること が日本各地で取り組まれている。既に始まっている。
インダストリー4.0の狙いは、一言でいうと、「ものづくりに関わるあらゆることをつなげること」となる。インダストリー4.0のキーワードである「マスカスタマイゼーション」も「サービタイゼーション」も「スマート工場」も、すべて”つなげる”ことが根底にある。
何をつなげるの?
まずは、社内をつなげる。
経営から現場までの情報の流れを良くして、効率的な生産を可能にする。
次が、社外とつながる。
企業間の情報を相互に流通して、効率的な協業が可能になるようにする。
最後が、製品ライフサイクルをつなげる。
販売後の製品の所在や状況を把握することによって、予防保守(故障を予測して業務を停止させずに早めに部品交換をするなど)を実現したり、利用情報を集めることで、新製品開発につなげたりする。
製品の廃棄やリサイクルなど環境保護にもつながる。
つなげる技術の核心が「CPS(Cyber Physical System)」
サイバーとは、「コンピューターネットワークによる仮想的な空間」と考えておく。
フィジカルは現実空間。商業なら店舗、製造業なら工場現場が、フィジカルの指し示すもの。
サイバーとフィジカルが連携して、効率的で自動的な生産(実際には新製品開発やマーケティング、販売、サポートといったライフサイクル全体につながっていく)を可能にするというのがCPSである。
CPSでは、製造機械にはたくさんの小型センサーが取り付けられている。これは製造の進捗管理や品質管理に活用するため。また、製品にも小型センサーが取り付けられている。これは、製品使用時のデータを集めて保守や新製品開発のための情報を得るため。
これらのセンサーの情報は、ネットワークを介して、つまりサイバーを通ってサーバーに集められる。(サーバーもサイバーに含めて考える)。サイバー側では、フィジカルから集められた大量で鮮度の高いデータを高速に処理して、効率的かつ自動的な生産を実現する。生産だけでなく、開発や販売、物流などバリューチェーンの他の要素にもフィードバックして、経営力強化にも役立てる。
製造現場においては、人間は実際にものづくりをする立場を離れて、主にサイバーとフィジカルが正しく連携しているかをモニタリングし、不具合があれば素早く対処することが主な業務になることだろう。
そうすると製造現場にあまり人はいらなくなる。しかし、余った人はサイバーから得たデータを分析して新しいビジネスモデルを考えたり、新商品を開発したりなど、よりイノベーティブな業務に就くようになると考えられている。
スマート工場はインダストリー4.0の中心概念
インダストリー4.0のねらいは、「ものづくりに関わるあらゆることをつなげること」、そして「つなげる技術の核心がCPS」である。そのCPSの特にフィジカルの要素が結集した場がスマート工場であり、サイバーがスマート工場同士をつなげることが、インダストリー4.0の基本概念である。
スマート工場に必要なシステムとは?
ERP(Enterprise Resource Planning)とMES(Manufacturing Execution System)、及びPLC(Programmable Logic Controller)は、以前からあるICTシステムと装置。これらはスマート工場にも必要な要素。
ERPは、会計、販売管理、購買管理、生産管理、在庫管理、人事・給与など、企業活動に不可欠な業務を効率化するシステム。基幹業務システムと呼ばれる。
MESは、「製造実行システム」と訳される。製造現場での作業管理をするためのシステム。ERPと比較すると内容を理解しやすい。
PLCは「シーケンサ」と呼ばれることもあるが、「シーケンサ」は三菱の商品名(登録商標)なので注意が必要。PLCは、リレー回路の代替装置として開発された制御装置で、エレベーターや自動ドアなど身近な自動機械の制御にも使用されている。PLCは順番のある動作を自動制御する。
PLCは複雑な処理(条件処理など)も可能で、そのような制御をするためには簡易言語によるプログラミングが必要になり、この言語を「LD言語(またはラダー言語)」と言う。LD言語はメーカーによってまちまちで互換性がなくなることがある。ただし、各社ともツールが提供されており、シーケンス図というフローチャートに似た図を理解できる人であれば、簡単にプログラムを作ることができる。
スマート工場は「計画層」「実行層」「制御層」という3つのレイヤーを持つことになる。最上位計画層をERPが司り、最下位の制御層をPLCが担当する。この2つの層をMESがつなぐことで、各層が連携しあって全体を制御する「垂直統合」が可能となる。
ただ、ここまでは
従来のFA(Factory Automation)と同じ。
では、スマート工場とFAとの違いは?
1つは、PLCが制御している製造機械が大きく違う。
スマート工場に設置される製造機械には多数のセンサーが搭載され、稼働データや品質データなどの製造管理や機械保守に必要な情報をリアルタイムに、無線ネットワークを経由して次々と送信してくる。これはIoTによって実現される。
もう1つは、製造機械から送られてきた大量のデータ(ビックデータ)を蓄積して分析するためのサーバー、さらにビックデータを使って学習し、特定業務で熟練作業者と変わらない働きをするAI(人工知能)が存在するという点。
つまり、IoTとAIの2つが、従来のFAとスマート工場を大きく隔てるものと言っても良い。
しかし、ERP、MES、PLCおよびIoTを垂直統合したスマート工場を作るだけではまだ不足。協力会社の工場同士が連携する「水平統合」を実現してこそ、インダストリー4.0がもたらす最大のメリットを享受できるということである。
ダイナミックセル生産方式によるマスカスタマイゼーションの実現
工場がスマート工場になれば、リアルタイムに工場内のセルを自由に組合せることも可能になる。
さらに、IoTとSCM(Supply Chain Management)によってシステムが水平統合されていれば、社外工場のセルでも、あたかも自社内のようにセルを自由に組み合わせることができるようになる。
セル生産方式とは:「セル」と呼ばれるラインを構成し、製品の組立工程を完成まで受け持つ生産方式で、主に「多品種少量生産」を行う工場で用いられる
このように水平統合された工場同士でセルを自由に組み合わせることを「ダイナミックセル生産方式」という。
ダイナミックセル生産方式によって、製造コストと納期の大幅な改善が期待できると同時に、個々の消費者に合わせた一品一葉の商品づくりとなる
「マスカスタマイゼーション」の実現が可能となる。
マスカスタマイゼーションを日本語に訳すと「個別大量生産」。
つまり、顧客の要望に従って1個ずつ違ったものを大量生産のようなコストで作れるという意味。
トヨタ生産方式の「JIT(Just In Time)」は、見込生産を前提としているため、マスカスタマイゼーションとは区別される。
インダストリー4.0とは本来、マスカスタマイゼーションによりオーダーメイド製品を作ることで売上拡大を狙い、かつそれをICT技術を活用して効率的に生産することで費用削減を狙うものである。
サービタイゼーションとは
製品を売るのではなく、それに伴うサービスも含めて売るのだという考え方。つまりサービスを付加価値として収益化するということ。
たとえば、製造機械にセンサーを取り付けて、消耗品の消耗程度を検知して自動的に供給したり、故障の前兆を検知して早期の部品交換を提案したりするというのが既に出ている。
膨大なアフターマーケット情報がビックデータ解析やAIの学習に利用されて、新製品開発につながっていく。
で、 IoTって何?
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)という言葉は良く聞く。で、何か?
正直しっかりと明確に定義できないもの。ざっくりと言うと
「あらゆるモノがネットワークにつながり、情報の入出力を行っている状態、またはその状態を実現している機械類」
のこと。いろんな定義がある中の1つです。
「単にものをインターネットで繋ぐという意味ではない。IoTはむしろ『インターネットのように』会社や組織やビルや住宅や所有者の枠を超えてモノが繋がれる、まさにオープンなインフラを目指す言葉。」
「コンピューターの組み込まれたモノ同士がオープンに連携できるネットワークであり、その連携により社会や生活を支援する。それがIoT」
(「IoTとは何か」 (坂村健氏 角川新書より)
IoTを活用するには、どのような仕組みが必要か?
まず、機械に取付けられたセンサーでモノから情報を取得するところから始まる。
センサーは温度センサー、湿度センサー、加速度センサーなどのほか、録音マイクやカメラのようなものも含む。
なお、センサーがついた機械類及びそれが存在している場所のことを「エッジ」と言う。エッジPC という言葉もも良く聞くけど、つまりセンサー類が付いている機械類の近くにおくPCのこと。このエッジPCに一旦センサーからの情報を蓄積したりする。
次に、取得したデータはネットワークを介して、サーバー側に送られる。サーバーでは送られてきたデータを処理する。処理結果は、人間またはエッジ側にフィードバックされる。あとはこの繰り返し。
サーバーからのデータを好きな場所でブラウザを通して見える化したり、メールやLINEに送信したりすることも可能。(量産ラインが急に停止した場合、スマートウォッチやスマートフォンにメッセージ(アラート)がくるようにしている工場も最近多い)
サーバーに送られてくるデータは大量になりますが、AIの学習のためにはIoTで収集されたビックデータが必要になる。
だからIoTとAIはよく一緒に話題になる。
AIには「強いAIと弱いAI」がある。
「強いAI」とは、AGI(Artificial Genera Inteligence)の略で、つまり汎用的なAIのことです。AGIは人間と同様の働きをする人口知能のことで、特定用途ではなく、あらゆることに対応でき、学習も人間と同様の過程で行う。
ただし、「強いAI(AGI)」に関しては、意識や心を持たねばならないとする人たちもいて、このあたりの定義も一定ではない。
対して「弱いAI」とは、「特定用途のAI」のこと。現在存在するAIはすべて特定用途のAIである。
詳細は以下をご参考に!
↑ここに機械学習や強化学習など、AIとはなんぞや?というのを簡単にまとめています。
↓ここからは、工場現場で働く方や、そのリーダー向けの具体的な内容です。↓
生産現場でIoTをどのように役立たせるのか!?
特に町工場や大企業でない工場で。
ポイントは生産性の向上!
QCD(品質、コスト、納期)改善するにあたって、その前に生産性を向上することで解決することが多いから。
生産性が高ければ品質向上にかける時間を作り出せるし、コストはもちろん減りますし、納期も短くすることができるから。
生産性 = 標準作業時間 ÷ 実績作業時間
と式は簡単ですが、これがなかなか できない。 なぜなら・・・
・そもそも標準作業時間がない会社が多い
・実績の入力に手間がかかるため入力忘れが多く、正確性に欠ける
要するに、めんどくさいし、やろうと思ってもストップウォッチで作業時間を測ったり、紙やエクセルに入力したりするのも大変。そんなことするヒマがあれば、1つでも多く生産しろーとなる。またせっかく実績作業時間を計測しても書き間違いや入力ミスも起こり得るから。
しかし、
標準作業時間は頑張って測定し、設定するしかない。
生産性を向上させるぞー!と初めてプロジェクトとして取り組むときは、プロジェクトの初期の数日を作業時間の測定に当てて、とりあえずはこの数値を使いましょう!ということで始める。そのときは作業をビデオで撮り、ムダなところを省いた正味作業時間だけを合計する。
その後も作業時間の実測を続け、数週間から数カ月ぐらい測定して得たデータの平均値を標準作業時間とする。
実績作業時間について
多くの工場では、製品別に作業開始・終了の都度、生産管理板という黒板に手書きで時刻を記入している。または専用のシートに手書きしている。
めちゃくちゃ手間。作業者にとってはめんどくさい。書き忘れも発生して、後からだいたいの時刻を記入する。だから正確性も無くなっていく。
そこで多くの会社では「POP(Point of Production:生産時点情報管理システム、工場現場の時々刻々に発生する作業の開始・終了時刻、生産数量、不良数量などの生産情報をその情報発生源である機械・設備・作業者・加工対象物から直接ペーパーレスに収集し、現場管理者に提要するシステム)」を導入し、ハンディターミナルを使って、作業の開始、終了時刻の入力をさせています。
これで、入力忘れは大幅に減りますが、それでも時々発生してしまう。
じゃあどうするか?
ここでまず IoT を活用する。
この本では、筆者が実際に行ってきた「ながらスイッチ※1」や、「PLCと連携したケアレスミス防止システム※2」が紹介されています。
※1:工程1と工程2の間にピン(ながらスイッチとしてのヒゲ)に製品を当てることで工程1の終了と工程2の開始を入力できるようにするなど。
※2:作業手順書モニターに「作業終了予定時刻がまもなくです」といったメッセージを、作業者が終了ボタンを押すまで出し続けるなど。
その他、プレス機や溶接機とPCをつなぎ、専用ソフトや汎用ソフトで作業開始時間、終了時間を自動的に取得するなど、現在は色々な手法がある。
つまりは、作業員の手間を省くため、そして正確な情報を収集できるようにする仕組みです。ここが生産性向上プロジェクトで一番の課題になるところ。
実績数値がわからなければ、対策を実施しても生産性が工場しているかどうかがわからないからです。
生産性向上には見える化が必須
データの見える化はエクセルでも問題ない。
データが多くなればBI(Business Intelligence)ツールを使用するのも良い。
重要なことはどのツールを使うかよりも、見える化をすること。
このような見える化を、工場全体はもちろん製品別にも実施し、対策していくことが、生産性向上には必要である。
ロット生産で使える流動数曲線
ロット生産を行う場合、下の図のような「流動数曲線」を用いて、
工程の製造リードタイムと仕掛在庫数を見える化して、異常と判断した場合に対策を行う手法が有名。
累積受入数曲線 と 累積払出曲線曲線の縦方向の差が「仕掛在庫数」。
横方向の差が「製造リードタイム」となる。
IoTから得られる情報で自動描画し、異常値を検出した場合にはアラートを出すようなシステム構築が可能。
インダストリー4.0時代の品質向上施策
QCDのQ(品質)について。
特に量産工場ではCpk(工程能力指数)と管理図(工程が管理状態にあるかを調べるためのグラフ)を用いて管理することが基本。
Cpkは、当該工程で検査規格に収まるモノを作れる能力を示す。
品質管理をされている方ならお馴染のものです。
これらをIoTとAIで劇的に楽に管理することができそうです。
CPは(Process Capability)という指標に「Katayori(偏り)」の概念が加えられたもの。CPは規格上限値と規格下限値の間に6σ(シグマ:標準偏差)の幅がどのくらい入るかというもの。
USL:規格上限値 LSL:規格下限値 μ:平均値 σ:標準偏差
Cpkが1の場合、良品率99.73%
Cpkが1.33の場合、良品率99.9366%にもなる。
Cpkを求めるためには大量生産であれば抜取り検査で行う。少量なら全数検査の場合もある。
抜取り検査をする際に、工程が管理されている状態にあるかどうかは、
X-R管理図(本当はXの上に「-」が付いて、「Xバー」です)を使って判定する。
「Xバー」は平均値がUCL(上方管理限界)とLCL(下方管理限界)の間に収まっているか、またどのような傾向を示しているかを確認する。
Rはバラツキ(最大値と最小値の差)を管理し、UCL以下になっているか、どのような傾向を示しているかを確認する。
その傾向は、具体的には、異常を判定するためのルールが9つあり、そのどれでもなければ正常だと判定します。
詳細は品質管理関係の本に詳しく載っています!
IoTの話からちょっと品質管理の話に行きすぎていますが、要するに、
CpkもX-R管理図も作るのに手間がかかる
→ IoTから得られる情報で自動的に作れるようにできる
→ 9つのルールをAIに覚えさせておいて、自動判定させることができるようになる
ということです。
インダストリー4.0時代の納期管理
計画策定は「KKD:勘と経験と度胸」が実情。
このような実情の中で、PDCAのマネジメントサイクルにシミュレーションの「S」を入れて、PSDCSAにするのが良いというのが著者のご意見。
PLAN(計画)→ Simulation → DO(実行)
→ CHECK(評価)→ Simulation → Action(改善)
シーメンスが開発した「Plant Simulation」などの活用を推奨されている。
IoTやAIを使っても様々な要因、要素のある生産管理、納期管理を的確に計画通り行うことは難しいことが窺えました。
また、製品にRFID付現品票などをつけて、現在製品がどこにあるのか、どこまでできあがっているのか、つまり進捗を自動的に管理することにも言及されている。
この後、この本では、
インダストリー4.0時代の改善活動や、IoTで得られるアフターマーケット情報の活用の仕方、ビッグデータとAIを新製品開発への活用方法など、幅広く且つわかりやすく説明されています。
IoTについて全体的に軽く知りたいけど、品質管理について少し詳しく知りたい、実際にIoTで何を計測してどのように活用したいか知りたい方には役立つ本だと思いました。工場で働く方々や管理者にはぜひおすすめです。
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