深く考えるプロフェッショナルが教える
「考え方」の技法。
この考え方の技法を習得すれば、
周りの人から1歩、
いや2歩も3歩も先を歩める。
自身の成長も飛躍的に加速させることができる。
しかも、その「技を習得すること」はそんなにハードルは高くない。
むしろハードルは低い。習慣にすることができるかどうか。そこが分かれ道。
この本を読めば、「習慣化する」という決意は固まること間違いない。
「考える」から「深く考える」へ。
論理的に考える とは、「考える」という技法においては、実は初級過程。考えるという意味では、まだ入り口にすぎない。
では、論理思考を超えた思考法とは、何か。
それは、「直観思考」と呼ぶべきものである。
「深く考える技法」を身につけるためには、初級過程の「論理思考」と上級過程の「直観思考」の間に、身につけるべき「中級過程の思考法」がいくつもある。
この本は、その中級過程の思考法として、特に重要な「五つの思考法」を取り上げ、「論理思考」「直観思考」と併せ、「深く考える七つの技法」が書かれている。
この本は、下記のようなことをよく言われる人にうってつけです。
「たしかに理屈ではそうだけれども・・・」
「そう簡単に白黒つけれないだろ・・・」
「それだけが問題ではないだろう・・・」
「それは視野が狭い物の見方だな・・・」
「まあ、本にはそう書いてあるけどね・・・」
「もっと、相手の立場になって考えられないのか・・・」
そして とどめを刺すのは
「なんか、君は勘が悪いんだな・・・」
こんなことをよく言われる、言われたくない!という方におススメです。
著者は言わずと知れたシンクタンク・ソフィアバンクの代表の田坂広志氏。
東京大学大学院修了、後学博士(原子力工学)まで学問の道を究め、その後研究員になろうとしていたが、うまくいかずに民間企業へ入社。しかも営業職に。
しかしその民間企業で様々な経験や知見を習得し、後に米国シンクタンク、バテル記念研究所客員研究員、日本総合研究所の設立に参画。2008年にはダボス会議を主催する世界フォーラムのメンバーに就任。
2009年にはTEDメンバーとして、毎年TED会議に出席。
2013年には現在5600名を超える経営者やリーダーが集まる「田坂塾」を開塾。
著書は国内外で90冊を超える。
まさに「深く考えるプロフェッショナル」として活躍し続けているカリスマ的存在。
↓あわせて是非読んでいただきたい著者の本↓
「七つの思考法」とは、
①「循環論理」の思考法
→直線論理だけで考えない
②「対立止揚(たいりつしよう)」の思考法
→二項対立(にこうたいりつ)構造で考えない
③「課題回帰」の思考法
→個別問題だけで考えない
④「水平知性」の思考法
→狭い視野の中で考えない
⑤「体験知性」の思考法
→文献知識だけで考えない
⑥「多重人格」の思考法
→自己視点だけで考えない
⑦「自己対話」の思考法
→直観の力を用いて考える
以下ポイントとして、
1:循環論理の思考法について
直線論理とは、
「Aが原因となって、Bが結果となる」 → 原因と結果
「Aという根拠で、Bという結論が得られる」 → 根拠と結論
「Aという目的を達するために、Bという方法を使う」 → 目的と方法
世の中で「あの人は論理的だ」と言われる人は、こうした直線論理が得意な人である。
しかし、この直線論理は「初級過程」の思考法である。
なぜか。
→解決困難な問題の多くは「循環構造」をしているから。特に悪循環な構造。
では、循環構造の問題に対して、どのように対処すればよいか?
3つある。
①まず、問題の循環構造を発見する
複雑な問題群の循環構造を考える場合は、その問題群の全体像を一度、「因果関係のフローチャート」の形で書き表してみる。
こうした循環構造の問題に対して、「直線論理」の思考法で対処すると、「循環構造」の切断による恣意的(しいてき=自分勝手)な「因果関係」の判断が起こってしまう。
②循環構造の「全体」に働きかける
なぜなら「病むときは、全体が病む」から。
先ほどの手書きの因果関係のフローチャート(汚い字ですみません(汗))の例で言えば、「結局、どの部署が問題なのか」という「犯人捜し」の議論になっている。
そうではなく、
それぞれの部署が、
「自分の部署は、全体の問題を解決するために、何をするべきか」
という思考に向かうべきなのである。
長い歴史を持つ東洋医学は、「ある部分が病気になるのは、全体の生命力が落ちているからであり、対症療法をする前に、全体の生命力を回復させる」というホリスティックな思想に基づいて治療にあたる。
(ホリスティック:全体的な)
↓「東洋思想」と言えば、こちらがおススメ↓
③循環構造の「ツボ」を見出し、そこに働きかける
循環構造の「悪循環」を断ち切り、反転攻勢に出るための「ツボ」。
そこに力を入れれば、組織全体の生命力が高まり、活性化する「ツボ」である。
組織全体の中で、好調の部署を選び、その部署をさらに活性化させることによって、悪循環を断つという打ち手も存在する。
つまり循環論理とは、
決して直線思考だけに凝り固まらず、犯人捜しに陥(おちい)らないためにも、全体を俯瞰できるよう因果関係フローチャートを描き、全体の悪循環を断つツボを見つける思考法である。システム思考に近い。
↓システム思考と言えば、これがおススメです↓
2:対立止揚(たいりつしよう)の思考法について
※対立止揚は、ヘーゲル哲学に出てくる弁証法
↓弁証法について興味がある方は、こちらがおススメ↓
対立止揚とは、
あるものをそのものとしては否定するが、契機として(チャンスとして)保存し、より高い段階で活かすこと。
対立と闘争の過程を通じて、発展的に統一すること。
つまり、「二項対立」で考えるのではなく、「対立止揚」で考える。
むずかしい(泣)。。
でもご安心を。
田坂氏の本で、そいういった不安は不要です。
説明がうまいから。プロだから♪♪
この思考法の前に理解しないといけないことは、
「論理思考」とは基本的に「二項対立」的な思考であるという事実。
そもそも「論理」とは、対象とする世界を「対立する二つの要素」に分割する思考だからである。
例えば、「真と偽」「善と悪」「美と醜」「成功と失敗」「達成と挫折」「勝利と敗北」といった形で、物事を対立的な二つの要素に分解し、
「何が真で、何が偽か」
「何が善で、何が悪か」
「いかにして成功し、いかにして失敗を避けるか」
「いかにして勝利し、いかにして敗北を避けるか」
といった形で思考を進めるのが「論理思考」の基本的スタイル。
しかし現実は複雑。もっと混沌(こんとん)としたカオスであり、単純でない。
単なる「論理思考」だけで議論する人は、
「思考の浅さ」を指摘される。
このように「論理思考」は、「二項対立」的な思考法のため、しばしば、目の前で複雑で混沌とした現実を単純化してとらえてしまい、その現実に上手く対処できなくなる。
従って、物事を深く考えるとは、そうした二項対立を超えた世界を見つめる事でもある。
ではどうすればいいか?
「二項対立」的な思考法の限界を超える思考法が「弁証法」(Dialectic)である。
↓もう一回おすすめ↓
弁証法とは、端的に言えば、対立するものを超えて、より高い視点に立つ思考法のこと。
すなわち、弁証法とは、「正・反・合」のプロセスによる「止揚(しよう)」(アウフヘーベン)をめざす思考法のことであり、
ある1つの考え方(正)に対して、これと対立する考え方(反)を取り上げ、これら一見、対立するものを、より高い次元で統合していく(合)思考のプロセスである。
↓ もっとわかりやすく。↓
(以下本文より思いっきり引用)
例えば、子供の教育に対して、優しくするべきか(正)、
厳しくするべきか(反)という議論がある。
この議論で、よく耳にするのが、「優しくしなければ、子供の心が折れてしまう」といった意見と、「厳しくしなければ、躾(しつけ)にならない」といった意見の対立である。
どちらも一理あるように思えるが、当初、対立的に見えるこの二つの意見に対して、
「社会性や協調性など、その子の将来を考えるならば、厳しく処することが必要なときがある。それが、本当の優しさではないのか」
「どうしても厳しく処さなければならないとしても、そのとき、その子供に対して、どれほど深い愛情があるのかが問われるのではないか」
といった形で互いの意見を交わし、互いの思考を深めていくならば、最終的に、「優しさ」か「厳しさ」かという単純な二項対立を超え、二つの考えを、より高い次元で統合し、より深い理解に到達することができる。
これが、「止揚(しよう)」という
思考のプロセスである。
もっと弁証法や対立止揚について知りたい方は、先ほどのおススメ本をぜひ!
物事を深く考えるためには、単純な「論理思考」による「二項対立」の思考法に陥ることなく、「弁証法」による「対立止揚」の思考法を用いること必要である。
会議で議論が対立し、紛糾したとき、この弁証法による対立止揚が有効である。
3:課題回帰の思考法
これはわかりやすい。
「解決の方法」を考えるのではなく、「解決すべき課題」を考える。
ということ。
問題や課題の解決策を考えているとき、「浅い思考」の落とし穴に対して、「深い思考」への転換をもたらしてくれる思考法である。
具体的な例では、
「橋のデザインを考えるな、河の渡り方を考えよ」
ということである。
もし我々が「橋の設計(デザイン)」について議論しており、議論が壁に突き当たり、「橋の設計」そのものが大きな壁に突き当たったとき、上の一文を思い起こすならば、全く違った発想へと転換することができる。
つまり、本来の課題とは、「河を渡ることである」と再認識するならば、「橋」という解決方法だけではない、様々な解決方法が頭に生まれるであろう。
トンネルを掘る。フェリーを渡す。ロープウェイを通す。飛行船や気球で越える。河を棒高跳びで越える。河を泳いで渡る。といった解決方法である。
「アイデアマン」というのは「バカげたアイデア」を生むことができる人である。
よく知られた話として、エレベーターが少ない高層ビル、
なかなかエレベーターがこないと不満があふれた。
解決策として、「高速エレベーターに取り換える」「建物の外部にエレベーターを増設する」「人々の出勤時間をずらす」など、いずれもコストや手間がかかった。
ある人物の解決策が、この問題を見事に解決した。
それは、「エレベーターのドアの横に『鏡』を置く」という解決策。
本来の「解決すべき課題」は、「エレベーターの利用者にとって、待つ時間が苦痛である」という本質的な問題に目をむけることによって、「視野狭窄(きょうさく)」を脱し、まったく斬新な解決策を発想できたのである。
エレベーターを待っている時間を、自身の身だしなみを整える、自分のファッションを確認するなどに使わしたのである。
もう一度復習。
「解決の方法」ではなく、
「解決すべき課題」を考える。
4:水平知性の思考法
「垂直知性」で考えるのではなく、「水平知性」で考える
という思考法である。
「垂直知性」とは、1つの専門分野を深く掘り下げる知的能力のこと。
一方
「水平知性」とは、様々な専門分野を横断的、水平的に結び付けて物事を考える知的能力のこと。
これはまさに、クロスオーバー人材のことだ!
クロスオーバー人材といえばこちらがおススメ!
日経の2019年ビジネス書ランキングでも1位だった本です!
優秀な専門家が沢山いるだけでは問題を解決することはできない。それらの専門家の知識を結集し、統合し、その総合的な知識で問題解決に取り組める人材が不可欠だ。
水平知性を身につけるにはどうすれば良いか?
3つある。
①心の中で「深く大きな問い」を問い続ける
本を読むときでも、「この本の著者は何を言おうとしているか?」という視点ではなく、
「この本は、自分の問いに答えを教えてくれるだろうか」という視点で読む。
↓これについては、この本が役立ちます↓
②本を読むとき「触発的コンセプト」だけを掴みながら読む。
深く大きな問いに対する「答え」についての発想やアイデアが触発されるコンセプトを「触発的コンセプト」と著者は呼んでいるが、読書を続け、
心の中に数多くの「触発的コンセプト」が集まってくると、自然にそれらが結びつき、ときおり、「1つの物語」を語り始める。
詳細は本文でぜひ!
③「分かりやすい言葉」にする。
それは、「本質を理解する」という意味である
なぜなら、難しい専門用語や最先端の用語を「分かりやすい言葉」にするためには、その用語が意味することの「本質」を理解していなければならないから。
よい指針になるのは、「〇〇学概論」や「□□学序説」といった表題の書籍である。
優れた学者や識者の筆による「概論」や「序説」は、その学問分野の「本質的な問題」を見事に描きだしたものが多く、「水平知性」の思考を身につけ、「スーパージェネラリスト」に向かっての学びをするとき、大きな糧となる。
5:体験知性の思考法
「文献知性」で考えるのではなく、「体験知性」で考える。
「文献知性」の思考とは、物事を考えるとき、書物や雑誌、新聞やウェブなどによって得られた「文献知」によって考えること。
「体験知性」の思考とは、自身の経験や体験を通じて得られた「体験知」によって考える思考のことである。
「文献知」とは、「言葉で表せる知識」である。
「体験知」とは、「言葉で表せない智恵」である。
高学歴の人材が、必ずしも深い思考ができるとは限らない。
それは、「文献知」と「論理思考」を偏重する現代の偏差値教育の結果。
苦労して経験を積みながら「体験知」を身につけ、論理を超えて深く考える「直観思考」を身につけることが疎(おろそ)かになっているから。
「経験」は豊であるが、あまり「体験知」を身につけていない人材も少なくない。
貴重な「体験」から「体験知」を学び取る技法を身につけなければならない。
では、その技法とは?
「反省の技法」 を身につけることである。
↓ 先に紹介させていただいたこの本にも詳細が書かれています ↓
「反省の技法」を身につけるための手順。
3つ。
①経験の追体験
会議や商談や交渉、プロジェクトやイベントなど、何かの「経験」をしたとき、
直後にその経験の場面を、時間の流れに沿って、順次、思い起こし、その経験を心の中で「追体験」する。
②体験知の振り返り
「経験の追体験」を通じて、その経験のそれぞれの場面で、どのような「体験知」を学んだかを、1つ1つ振り返る。
③体験知の言語化
「体験知の振り返り」においては、その経験から学んだ「体験知」を、できるだけ「言葉」にして、同僚や仲間に語ったり(直後の反省)、日記に記録(深夜の反省)する。
(赤字の部分は、著者の様々な本でも紹介・説明・推奨されています!)
直後の反省会と深夜の反省日誌については、著者も20年以上続けており、その効果の絶大さを体験しています。だからこそ、色々な著者の書籍で折に触れて語られています。
また、次の3つも習慣にすると、さらに豊かな「体験知」となる。
1.現在の経験の「反省」
2.過去の経験の「棚卸し」
3.未来の経験の「目的意識」
1の反省は、上記した直後の反省会や反省日誌をつけて、振り返ること。
2は様々な「過去の経験」を1つ1つ振り返り、やはり、その経験から得られた「体験知」を書き出してみること。
3は、これから何かの経験を積むとき、その経験を通じて、どのような「体験知」を身につけたいかという「目的意識」を明確にする。
この後、本書では、「多重人格」の思考法、「自己対話」の思考法と続きます。
まだに本書の醍醐味に入っていきます。
最後の章では、著者は大切なメッセージをくれます。
「あなたは、自分の中に『天才』がいることに気がついているか」
そのメッセージです。
人間として「謙虚な心の姿勢」を持つということと、自分の才能や能力について、「自己限定」をしてしまうこととは、全く別のことである。
ここでいう「天才」とは、エゴの叫びのような意味ではない。
ここでいう「天才」とは、
「人間は、誰の中にも、想像を超えた素晴らしい才能や能力、そして可能性が眠っている」という意味である。
では、その自己限定をせず、自分の想像を超えた素晴らしい才能や能力を引き出すにはどうすれば良いのか?
そこに興味がある方は、ぜひ一度本書をとって読んで頂きたいです。
著者にしては少し広くやや浅くといった内容でしたが、初めて田坂広志氏の本を読むにはもってこいの一冊だと思います初めての方にとっては浅くないかも!。
本当に考える習慣、考え方が変わると思います。おススメです!
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