この本は、ビジネス書や自己啓発本好きの私にとっては本当に「ありがたい」と思った本です。その理由は、読んで得た知識を効率的にストックする方法や、必要な時に素早くアウトプットできるようになる方法がわかりやすく書かれているからです。
本をたくさん読んでも得た知識をすぐ忘れたり、仕事で活かせていない。どうやったら得た知識をうまく活用することができるだろう・・・と悩んでいる方にぴったりの本です。本の最後には、知的戦闘力を高めることができる著者お薦めの書籍が、11ジャンルに分けて多数紹介されているお得な1冊です。
哲学と美術史を専攻していた著者が、電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナーとなり、年に数冊もの書籍を執筆されています。
つまり哲学と美術史以外で必要そうな”マーケティング”や”経営学”、そして”組織論”や”心理学”については「全て独学」した著者。そんな著者だからこそ語れる独学の方法、「独学の技法」が本書に詰まっています。
著者は、独学をシステムとしてイメージしない限り、本書の目的である「知的戦闘力を向上させる」という目的は達成できないと考えています。そのシステムとは、「①戦略」、「②インプット」、「③抽象化・構造化」、「④ストック」の4つのモジュールからなるシステムとして説明されています。
ポイントとして、
・どのようなテーマについて知的戦闘力を高めようとしているのか、その方向性を真っ先に考えることが必要である。
・自分がすでに持っているものに着目する。間違っても他人が「持っているもの」で、自分が「欲しいもの」を主軸にしてはいけない。
・「何をインプットするのか」を考えるのも重要だが、「何をインプットしないのか」を定めることが重要である。
・人生全体で見てみれば、アウトプットの量とインプットの量は同じ。
・「知的戦闘力が上がる」というのは、「意思決定の質が上がる」ということである。優れた意思決定は優れた行動に直結し、優れた行動は優れた結果をもたらす。
・得られた知識は何か、その知識の何が面白いのか、その知識を他の分野に当てはめるとしたら、どのような示唆や洞察があるだろうか、を考える。つまり、「問」や「仮説」を考えてみる。
・後で効率的に検索可能なネットストレージ(著者はエバーノートを使用)にストックし、タグをつける。
・アンダーラインと付箋を活用して、選り抜いた箇所を転記する。
日本を代表するような企業の組織開発・人材育成を支援する仕事をおこなっている著者ですが、このような、いわば「専攻と縁遠いキャリア」を歩むことができたのは、ひとえに独学のおかげだと著者は言いきっています。哲学と美術史専攻の著者がこのような仕事、キャリアを歩むことを可能にした「独学の技法」が本当にわかりやすく書かれています。
書籍から「何を」得れば良いのか。得た知識は「どのように」ストックするのが効率的なのか。得た知識を「どうすれば」活かすことができるのか。知識をストックするときには「どんなふうに」転記すればいいのか。また「どういった書籍」から選り抜けばいいのか。
実際に著者のやり方をまずマネることが大切だと思います。上達への近道は、できている人をマネる事だということに共感できる方に、ぜひ読んでいただきたい1冊です。
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